■ 目 次
概要 (このページ)
昭和25年(1950年)狂犬病予防法施行規則(そのもの)
表題
(準用のための報告)第一条
(予防員の証票)第二条
(登録の申請)第三条
(原簿及び鑑札の様式)第四条
(鑑札の再交付)第五条
(所有者の住所等の変更)第六条
(犬の所在地の変更)第七条
(死亡及び所有権の放棄)第八条
(所有者の変更)第九条
(予防注射の時期)第十条
(注射済票の交付)第十一条
(注射済票の再交付)第十二条
(捕獲人の証票)第十三条
(所有者への通知)第十四条
(処分前の評価)第十五条
(狂犬病の犬の届出事項)第十六条
(政令で定める市)第十七条
(附則)
別記様式第一 ~ 別記様式第六
(参考)狂犬病予防法施行令は、昭和28年(1953年)地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律 をうけて制定されます。
それに関するページは、昭和28年(1953年)狂犬病予防法施行令 制定 。
■ 概要
昭和25年8月26日に公布・施行された狂犬病予防法。その附則に以下の一文がある。
= =
附則
2 昭和二十五年における第四条に規定する犬の登録及び第五条に規定する予防注射は、同年九月三十日までにこれを行うように厚生省令をもつて定めなければならない。
= =
ここに書かれた「厚生省令」が「狂犬病予防法施行規則」。
昭和25年8月26日に狂犬病予防法が公布・施行されて、その中で、9月30日までに予防注射を行うように、「狂犬病予防法施行規則(厚生省令)」を作り国民に守らせるのは無理があるのでは?、と思いましたが、敗戦後の立て直し時期にはよくあることだったのかも。
その狂犬病予防法施行規則が公布・施行されたのは、9月22日なので、9月30日まで一週間はありますが10日もありません。その間に日本中の登録された犬は狂犬病の予防法注射をしなければならない!、今では考えられませんが、そういう時代だったんですね。
ここで取り上げる昭和25年9月22日公布・施行の狂犬病予防法施行の引用元は以下になります。
官報 1950年09月22日 第7111号 313,314,315。
国立国会図書館デジタルコレクションでPDF化された2ページ。
1ページ目から2ページ目へのリンクがあります。
https://dl.ndl.go.jp/pid/2963657/1/1
https://dl.ndl.go.jp/pid/2963657/1/2
以降、引用にあたり PDM であることの確認としてマニフェストのリンク先を記載しておきます。
https://dl.ndl.go.jp/api/iiif/2963657/manifest.json
"label": "Access Restrictions",
"value": "PDM"
○ 先に書いた「無理なスケジュールなのでは?」と思った内容を以下に簡単に書いておきます。
以下、全て昭和25年のこと。
・ 8月26日 狂犬病予防法が公布・施行
附則に「9月30日までに犬の登録と予防注射を行うように厚生省令で定めるように」と書かれている
・ 9月22日に狂犬病予防法施行規則(=厚生省令)が公布・施行
こちらの附則には「9月30日までに犬の登録と予防注射を行わなければならない」と書かれている
今のように情報を迅速に広める手段がない時代に、国の規則として有料の登録や予防注射を義務付けることを広めるには時間が必要だと想像します。
狂犬病予防法の公布・施行から一ヶ月ちょっとでは無理だと思います。
ちなみに登録ではなく、首輪などに飼い主の住所氏名を書いておくことが求められた規則は(都道府県単位ですが)明治の初めからあったことは記憶にあります。
また「登録」ではなく「届出」も大正ぐらいからあったみたいです。当時のことがうかがえる資料として以下を紹介します。
わが国における犬の狂犬病の流行と防疫の歴史 6 @ 人と動物の共通感染症研究会
そうそう「買い上げ(買上げ)」もありました、そして「街路上で繰り広げられる撲殺行為」それに対する「慰霊碑の建立」など。
この届出によって飼い主にどのような負担があったのか(届出に料金が発生したのかなど)は見つけられませんでした。小川未明の「青い石とメダル」(初出は昭和7年)の内容から軽くはない負担があったことは想像できます。
とにかく(届出制度があっても)それでもやらない人が多かったから狂犬病予防法で登録が義務付けられたのでしょう。
狂犬病予防法による登録と狂犬病の撲滅についての考察は以下の論文の3~4ページ辺りを読めば納得できると思います。
狂犬病予防法が狂犬病撲滅に果たした役割 @ J-STAGE(J-STAGEの利用には登録が必要なものもありますが個人での利用は無料です)
素晴らしい結果となりましたが、昭和25年のスケジュールは無謀に感じました。
もしかしたら、私が法律というものを勘違いしているのかも知れません。法律で刑事罰規定がある違反をしたら必ず罰せられると思っていましたが、もう少し緩いのかも。行政側としては「いざとなったら取締るよ」と言えるものであることは確かだと思いますが。
〇次回は、狂犬病予防法施行規則そのもの(全体)をアップします。
その次の回から各条について、私の理解、感じたこと、想像などを書いてゆきます。
(参考)「施行」は、「しこう」それとも「せこう」?
検索で上位に出て来て、私が分かり易いと感じたものを紹介しておきます。
「施行」の読みは[シコー][セコー]? | ことば(放送用語) - 放送現場の疑問・視聴者の疑問 | NHK放送文化研究所 @ NHK放送文化研究所
正しく(辞書の主見出し語)は「シコー」、しかし法律関係者の間では「セコー」と読む習慣があるらしい。
勉強をする上では「しこう」、法律関係者と話をする時は「せこう」とすると良さそうです。
(参考)「施行規則」と「施行令」
法律を読んでいるとこの二つが出てきますが、違いは何だろうと調べてみました。
検索して上の方に出てきたものの中から、素人でも理解し易そうなものを紹介しておきます。
政令(施行令)と省令(施行規則)の違い とは?基本を解説! @ すすむ・はかどる、契約学習「契約ウォッチ」
法令の力関係としては
法律(国会) > 政令(施行令)(内閣) > 省令(施行規則)(各省大臣)
施行令は、憲法・法律を実施するために制定されるルール
施行規則は、各省大臣が担当する行政事務について、法律・命令を施行するため、又は法律・政令の委任に基づいて定めるルール
施行規則の方が現場寄りの細かいことになるようです。
もし内容に間違いがあることをお気づきの場合、疑問点がおありの場合等、以下の「こちらから」ご連絡いただければ幸いです。
2024.6.5 (参考)「施行」は、「しこう」それとも「せこう」? 追加
(参考)「施行規則」と「施行令」 追加
#狂犬病 #狂犬病予防法施行規則 #1950