※昭和25年9月22日公布・施行の狂犬病予防法施行に関するコンテンツの目次はこちらのページをご覧ください
(予防注射の時期)
第十条 犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合にはその者。以下同じ。)は、法第五条第一項の規定により、その犬について、狂犬病の予防注射を四月から六月までの間及び十月から十二月までの間に各一回受けさせなければならない。
2 前項に掲げる期間以外において、生後九十一日以上の犬であつて、過去六箇月以内に狂犬病の予防注射を受けていないもの又は受けたかどうかが明らかでないものを所有又は管理するに至つた者は、その日から三十日以内にその犬について狂犬病の予防注射を受けさせなければならない。
(引用元)
官報 1950年09月22日 第7111号 313,314,315。
国立国会図書館デジタルコレクションでPDF化された2ページ。
1ページ目から2ページ目へのリンクがあります。
https://dl.ndl.go.jp/pid/2963657/1/1
https://dl.ndl.go.jp/pid/2963657/1/2
これも難しいことはないですね。
今と違うことは、年二回だったこと。年一回になったのは昭和60年(1985年)から。
それ以外は、生後九十一日以上の犬、受けていない犬(明らかでない犬も含む)は三十日以内に予防注射は、同じです。
※ 余談諸々 ※
この時(昭和29年制定時)書かれたことについては、難しいことはないと思います。
その後、特に最近の関連することを幾つも書きたくなったので以下に書いておきます。
年二回 → 一年一回 → 三年に一回?
令和六年現在の狂犬病予防法施行規則との違い(第三項)
狂犬病予防接種率の低下
接種率の向上とマイクロチップの有効活用を願っています
予防注射が年二回から一回に変わったのは昭和60年ですが、犬の飼い主からすれば一大事です。きっと凄いムーブメントがあり、やっと変わったとだろうと想像したいのですが、まず改正法の名前が「地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等に関する法律 昭和60年7月12日法律第90号」(附則に施行が「昭和六十年十月一日」からとあります)。
「えっ?、整理、合理化等の一環なの?、それでしれっと変えられることなの?」と不思議におもって調べてみました。
以下の議事録を開いて「狂犬病」でページ内検索してみてください。
第102回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 昭和60年5月28日
「見切り発車しちゃったの?」(「見切り発車」でもページ内検索してみてください)。
変えようとすれば「見切り発車」の勢いで変えられるものなんだなと知りました。
その経緯を簡単に説明すると「昨年一月農林水産大臣が新ワクチン、一年間の免疫持続期間を有するワクチンの製造承認を行った(上記議事録より)」結果、法改正前から「もうことしから注射は一回(上記議事録より)」と書かれた「市民便りとか何かが出ております(上記議事録より)」という行政も現れました。
この状況に対し委員からは「審議をして法律が通って注射は年一回、こうなって初めてそういうふうな対応をしていかなければいけないわけでございますので、今後気をつけていただきたい(上記議事録より)」となり、法改正がされています。
三年に一回への道は製造承認のようですね。
令和六年現在の狂犬病予防法施行規則(当時第十条、今は第十一条)には、第三項があります。
所有者以外のものが犬を管理する場合には、管理者が(第一項の)所有者の立場のように予防注射を受けさせなければならない、となっています。
このページに載せた昭和29年の第一項に「(所有者以外の者が管理する場合にはその者。以下同じ。)」とあり、それが独立したものですが、何故そうしたのか気になり考えてみました。
マイクロチップが法律で定められ、鑑札に代わりになることも認められたことで登録意識が高まったことと、保護犬の一時的な預かりさんなどが増えてきたことで、この項目ができたのかなと想像しました。
でなければ、東日本大震災後の混乱の中で接種時期の特例が設けられたことと関連して出来たのか、そんなことも考えました。
どちらも違いました。
いつ第三項が出来たのか、私が調べた限りでは、狂犬病予防接種が年二回から一回に改正された昭和60年の改正のようです。この改正時この条文(昭和60年には第十一条になっています)は、細かい修正ではなく、この条文全てが改められていました。
何故その時だったのか、私なりに考えてみました。
昭和60年(1985年)当時、狂犬病予防接種の接種率はほぼ100%だったと言われています。ご存知のように接種率は、接種した犬の数÷登録数(登録は所有者)なので、登録されていない犬は数字に含まれません。
狂犬病対策では、狂犬病予防法が出来る前から無責任な飼い方(飼っていると言えるかも疑問のなよう飼い主も含む)が問題になっていましたが、昭和60年当時も登録しないで飼っていた人が問題になっていたのかもしれません。
当時はハスキーブームから始まった大型犬ブームの始りの頃でもありました。
現在接種率は7割くらいと言われています。いつ頃からほぼ100%ではなくなってきたのは平成8年頃から下がってきた言われています(参考:全国及び東京都犬の登録頭数等(昭和60年度から令和4年度まで) )。時代的には大型犬ブームの終わり、小型犬ブームの始まった頃。第二次ペットブームの始まりと呼ばれることもある頃です。
確かに、その頃から登録しない飼い主さんや「私は狂犬病の予防注射を接種させません」と口にする飼い主さんを見聞きするようになりましたしが、昔のような無責任な飼い方をしている人たちが減ったことも実感した頃でもありました。
現在登録していない人が増えただろうという考えがありますが、昭和60年に比べれば、その割合は減っているのかもしれません。
登録していない犬の把握は困難ですが、マイクロチップの普及でそれが解決されることを願っています。
現在接種率が70%くらいと低くっていますが、何らかのきっかけで改善されることを祈っています。
余談になりますが、私は三年に一回になると忘れてしかう飼い主さんがいるのではないかと考えたこともありましたが、現在はコンピューターでデーターが管理され、接種の時期には役所からお知らせが届きます。
また、動物病院に定期的に通う飼い主さんも増えました。病院でも接種タイミングの管理してくれることでしょう。
マイクロチップが普及し、そのデーターが有効に活用され、今以上に多くの人が安心して暮らせる世の中になることを祈っています。
〇次回は「注射済票の交付」。注射 → 注射済証 → 注射済票
もし内容に間違いがあることをお気づきの場合、疑問点がおありの場合等、以下の「こちらから」ご連絡いただければ幸いです。
9.5 noteを書いていて現状との比較を入れることをおもいつく
#狂犬病 #狂犬病予防法施行規則 #1950