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この改正にどんな意味があるの?、わざわざ取り上げるほどのものなの?、とお考えの方もいらっしゃると思いますが、この改正から三年後、昭和32年(1957年)猫の狂犬病を最後に国内での発生の記録はありません。この改正により狂犬病を撲滅できたと言えるものかもしれません。

狂犬病の撲滅は後から歴史が検証するものだとおもいますが、それまでにも犬の狂犬病も人の狂犬病も減り、発生時の対策活動も減り、世の中の雰囲気も変わりつつあるものがありました。そして「狂犬病のない日本」になるのです。そのことにより、日本の動物愛護活動は転換期を迎えます

現在も狂犬病予防法は存在しますが、その主目的である狂犬病対策(通常措置、狂犬病発生時の措置)の基本的な部分はここまでから大きな変化はほとんどありません。
この改正後の形が現在の狂犬病予防法の原点なのだと考えています。

数少ない大きな変化は、この改正で追加された第五条の二(犬の引取)が「動物の保護及び管理に関する法律」が成立時にそちらに移ったことでしょうか。


改正法は読み難いです。そもそも「改正法って何?」と思われる方もいらっしゃると思います(私もそうでした)。
それを念頭に出来るだけ分かり易く書いたつもりです。


原文は以下になります
狂犬病予防法の一部を改正する法律・御署名原本・昭和二十九年・法律第八〇号



□ 前置き的な内容 □

昭和29年(1954年)狂犬病予防法の一部を改正する法律を取り上げます

昭和29年(1954年)狂犬病予防法の一部を改正する法律 (全文)

昭和29年(1954年)狂犬病予防法の一部を改正する法律 (区切り入り)

以下、法律の内容を説明していきますが、上記「区切り入り」の内容を前提に説明してゆきます。


□ 条文を区切って説明 □

昭和29年改正 表紙的な箇所
一般的には法律の本文には入ってこない箇所
形式的に、いつできた、何という法律、天皇陛下の御署名と御璽(判子)、関係大臣(総理大臣だけのこともある)の署名など

昭和29年改正 タイトル的な箇所
法律を調べた時に冒頭に書かれている部分
法律番号、日付け(成立日、公布日、施行日などが書かれていることがあるが、この法律の場合、公布日=施行日のみ)、法律名、 改正法の場合はそれが分かる一文が書かれている

目次の修正(条文が増えたので)

第二条第一項 適用範囲の表現の変更

幻の(犬の引取)第五条の二(動愛法第三十五条 犬の引取りの起源)
犬の引取(この条文が追加された事情を考える)
資料の中の小冊子2つ(当時を理解する上で重要な資料)
※現在の医療がこの当時とどの程度進んだか各自調べていただけると嬉しいです。

第六条の修正・追加
とてもややこしくて頭を使います。多くの修正事項、順番の入れ替えなどあります。

第十条(公示及びけい留命令等)の対象となる区域の指定方法変更
第十条は、狂犬病発生時の措置の「公示及びけい留命令等」。その範囲について以前は具体的な数字の指定がありましたがそれをなくしました。

第十四条第二項の修正(第六条の修正の為)
第十八条第二項の修正(第六条の修正の為)

別々の項目ですが、どちらも第六条の項番号が変わったことで、それを指す項目番号を変えただけなので1つのページで説明しています。

第十八条の二 (けい留されていない犬の薬殺)追加
特定の区域の抑留が必要な犬が捕獲できない場合、薬殺させることができる

第二十八条追加(罰則の章の中)
いままで五万円と三万円の罰金刑がありましたが、それらに「拘留又は科料」が加わりました


附 則

大臣署名



昭和29年(1954年)の法改正はこれで終わり。
次は、この改正関連の施行令と施行規則。
それが終わったら、このサイトは一区切りつけたいとおもいます。
 


もし内容に間違いがあることをお気づきの場合、疑問点がおありの場合等、以下の「こちらから」ご連絡いただければ幸いです。

2024.5.12024.8.17
2024.5.1 公開(未完成)
2024.8.17 一通り公開
#法律 #狂犬病 #狂犬病予防法 #改正 #1954 #昭和29年