■ ひっくりおばま
病院通いが始まって、「もうこんな家に居るのはイヤになるのでは」と心配していた。しかしおばまは、女房にだんだん懐いていった。なぜか限られた時間だけなのだが。野良猫タイム(野猫じゃないだけグッド)と飼い猫タイムがある。

野良猫タイムにはただただ警戒し、クローゼットに閉じこもったり、出て来て人間の姿を見れば急いでクローゼットに戻ったり。逃げられない時は「シャー!」と叫んだり。

飼い猫タイムの時は、人の前でもひっくり返るようになった。
ダイエットに成功した今は、普通の猫のように立っている姿勢からゴロンと寝転がりお腹を見せてくれますが、ひっくり始めの頃は胴体が真ん丸で、立っている姿勢から転がると、勢いがつきすぎてクルンっと高速でひっくり返っていました。
Twitter に『#おばま通信』として日々の姿を書き込んでいますが、最近は「ひっくりおばま」の写真ばかり。
ひっくり返ったからお腹を撫でてやろうとすると、怪我することになります。まだまだ野良猫部分が残っていますが、悩みも少なくなりました。


ただ、かつて野猫だったおばまには「人間に飼われている」という感覚は薄いようです。今でも、野猫の名残りのような習性がある。食事時は特に、私たち人間を環境の一部と捉えているようにしか思えません。まだまだ「家族」を実感できない時があります。


おばまを迎えようと思ってから、いろいろなことを考えてきた。しかし、震災の記憶も薄れてきた東京で暮らしていると、福島のこと・大災害のことを忘れてしまう時がある。
それでもまた、おばまの食に対する姿勢や時々見せる激しい警戒行動が思い出させてくれる。夜ノ森へ行った時の写真を見ると、もっと多くのことを思い出し、考えてしまう。

ペットと一緒に避難する人々。ペットがいて明るくなる避難所。
それが当たり前になることを、願ってやみません。

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