■ 野猫の名残りのような習性
最近は「飼い猫タイム」が多くなってきたおばまですが、野猫だった頃の名残りのような、こんな習性が残っています。

まず、食べものに対する執着が強い。
目の前に食べられそうなものが出てくると、全力で捕らようとします。それが人間の手であっても同様で、迂闊に手を出すと猫パンチが飛んできて、グッサリと爪が刺さり、引き寄せられてしまいます(なのでお腹は触れない)。口の前にあるものには喰らいつき、ぐぐぐっと噛み締めます(とても痛いです)。
動く物に反応しているようにも思えますが、食べられるものと食べられないものはしっかり区別していて、例えばオモチャなどは無視します。以前はオモチャを目の前で動かすと怖がって逃げていましたが、最近はやられるがままに我慢している様子です。(このへんは、飼い猫っぽくなりました)

しかし、警戒は絶対に忘れません。
いつもの部屋の外に食べ物を置いてあげると、びくびく・きょろきょろしながら近づきます。毎日甘えている女房にさえ「しゃー!」ということがあります。やっとのことで食べ物に辿り着いたら凄い勢いで食べ、また安全確認し、慎重に帰ってゆきます。
食事以外では、滅多に自分の隠れ家(現在は押入れ)のある部屋から遠く離れません。最近は部屋から出ることもたまにありますが、その時にはピリピリと緊張し、警戒しまくっています。
いつもの部屋が自分の縄張りで、その外は危険がいっぱいな場所だと認識しているようです。いつもの部屋の中でも、少しでも雰囲気が違うと警戒モードになります。
三春シェルターでも、個室とその周辺で過ごすことが多かったと聞いて
います。

我が家の「おばま」が、三春シェルターで「オバマくん」と呼ばれるようになる前、つまり捕獲される前に、彼が野猫だったのか、実は飼い猫だったのかは定かではありません。しかし、このような日々の生活の中の行動を見ると、「やはりこれは野猫だったときの名残りなのだろうな」と思わざるを得ません。


そんなおばまを見ていて、野猫だった頃の主食はネズミだったのではないか、と考えるようになりました。

猫のネズミ捕りは、待ち伏せ戦法だそうです。警戒心の強いおばまにはぴったりだと思います。
夜ノ森にいた時も、ネズミが多い場所にねぐらを構え、そこからほとんど動かず、ひたすらネズミが通るのを待っていたのではないか。そして、太い前足の先の強く鋭い爪で引っかけ、素早く引き寄せて齧りつき食べものとして、生きてきたのではないか。
実際にどうだったのかは知ることはできませんが、おばまはネズミ捕り名人だったのかもしれません。


夜ノ森から、多くの猫たちと一緒に暮らした三春シェルターでの日々を経て、今は我が家の飼い猫になりました。これだけの変化を、おばまはどのように受け入れているのだろう…と、私は時々考えます。

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