牧童の一日

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(朝飯前)

普通、牧場の朝といえばとても早いみたいですが、ここでは特別に早いということはありませんでした。早くても6時くらいだったと思います。冬などは7時過ぎに起きていたような記憶があります。(記憶が定かでないので、間違っているかもしれません。)少なくとも「暗いうちから起きてお仕事」ということをやった記憶はありません。

起きれば、まず、馬を寝床から出して繋ぎ場に繋ぎます。そして馬の朝ご飯。馬がご飯を食べている間に馬にブラシをかけます。最低限の仕事はここまで。気が向いたり、必要があれば、早く起きて馬の運動ということで、馬のご飯の前に馬に乗ることもあります。
この後、人間の朝ご飯です。その前に時間に余裕があれば、れこからの仕事を前倒しでやっていきます。

(日中)

この後の仕事は順番は色々。

馬の寝床の掃除。
馬装>馬場に馬出し>お客さんを馬に乗せて乗り方を教える>馬を繋ぎ場に戻す。
馬の運動。(追い運動だったり、乗ったり。)
馬場や繋ぎ場でのボロ(馬のウンコ)拾い。
馬の水の補給。(馬は便秘に弱い)

馬が仕事が多い時期は、お昼にもちょっとだけご飯(オヤツといった方がいいかも)をあげていました。

時々、大工仕事などもありました。(土木の方が多かったかも。)

(夕方)

馬が馬装されていれば、それを取ります。汗をかいてれば拭いてやります。
馬の足を洗う。
馬を寝床に入れてご飯をあげます。水も入れてやります。
繋ぎ場や周辺をお掃除、その他片付け。

この後、人間の食事。
一年を通して、日が落ちる前には夕方の仕事は終わりになっていました。

(夜、9時)

時期によっては、夜のオヤツをあげます。
オヤツがなくても、見回りをして、水の補給をします。冬は、馬の飲み水の表面が凍ってしまうのでそれを割ったりもします。


朝、お日様が出たすぐ後に起きて、夕方は山に日が沈む少し前に大体の仕事が終わる生活は、とても新鮮に感じました。外での仕事ですから、季節の移り変わりは肌で感じます。変な言い方ですが「地球の中で生きているんだな、」という実感がありました。

子供の頃から激しい偏食がありました。ここでお世話になってからは、食事が美味しかったのでそれがなくなりました。それとは別に「地球の中で生きている」と感じてからは、どんな食べ物でも粗末にしないようになりました。
1日の長さ、1ヶ月の長さ、1年の長さを肌身で感じると、野菜は何ヶ月の時間と手間がかかったのだろう、肉になった牛はどんな一生だったのだろう、とそんなことを考えてしまうことがあります。

それも生き物を扱っていたからでしょうか。馬を扱うということは、馬に何かを伝えたり、何かをしてもらったりするということです。人間は人間だけで生きているのではなく、色々な生き物と繋がっているのだと感じずにはいられませんでした。

地球という限られたカプセルの中に、色々なエネルギー、生き物、その他それらによる産物があって、人間はその中の一つなんだ、と今でも考えています。


牧童の頃のお話
恐いお話            痛いお話


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