タイの思い出  その2

2002.08  Kimmy さん より


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ご存知の通りタイは暑いです。
基本的に人々は大らかです。
「マイペンライ」(気にしない)という言葉を良く使います。

人間同様、犬も「マイペンラ〜イ」なのか、海辺のリゾート地では
観光客のパラソルの下でダラ〜ッとのびてる犬をよく見かけました。
パラソルでつくられた日陰の下で、とても気持ち良さそうに寝ています。

ですが、このダラダラ犬達が突如として全力疾走で走る時があります。
食べ物を見つけた時です。
さっきの犬とは違う犬ではないかと思い、驚くほどの速さで走ります。

ビーチには行商の少年少女中年男女が色々な物を売りに来ます。
犬が「あれは食べたことがある!美味しい!!」と知ってか知らずか、
犬からは離れた場所で誰かが食べ物を買います。
するとさっきまで、怠惰にダラダラ〜と過ごしていた犬が食べ物を買った人に
向かって、違う犬ではないかと思う程の驚くような速さで走ります。
見たこともない速さで走って行きます。
食べている人の側に到着した犬は満面の笑顔で人間が食べ終わるのを待ちます。

長逗留で気前の良いの欧米人は、顔見知りの犬に同じ物を振舞ったり
していました。
私は犬の振る舞いが面白くて、ぼんやりとその光景を一日中見ていました。

パラソルの下での涼しい場所、そして食べ物・・・
人間の側で犬は安心を感じたのでしょうか?
その犬達は生きる術を学んでいたのでしょうか?
当時の私には興味深い光景にしか写りませんでした。

日が暮れ、犬に居心地の良い場所を提供していた人は犬に「明日の約束」を
して帰って行きました。
特に何もする事がなかったので、そのまま私は一番興味深かった犬がその後
どうするのかを見ていました。

しばらくたつとその犬は海に向かいました。
自分の腰が海に漬かる場所で犬は座った姿勢で留まりました。
じっと動かず・・・
まるで沈んでいく夕日を見つめている様に見えました。

その姿はさっきとは別の犬ではないかと思うような、とても近寄りがたい
雰囲気でした。
「孤高の犬」私は彼をそう名付けました。

人から、生きる為の「おこぼれ」にあずかったとしていても
彼の心はもっと遠く高いところにあるように見えたからです。

何故かその姿に感動した私は「自作の絵葉書」で「孤高の犬」を
書いて書いて家族や友人に送りつけていました(笑)

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