船室の洗面。
      洗面はあってもうーにーはいない。

北海道旅行記
   1999

  9月23日(木)

室蘭(美喜屋 〜 フェリー乗船)




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外から見ても店内に入ってもお世事にも綺麗とは言えない店だ。店内はすごく混んでいた。外の豪雨の雰囲気を忘れるのに充分な熱気だ。暖簾をくぐると満席で入口で待たされた。この時は車の運転でイライラしていたこともあり、この店にこだわらず他の店に行こうかと思ったが、外の雨を考えるとちょっと待ってみようと思った。
しかし、私達が入ってから5分ほどでカウンターのお客さんが立ち、座ることができた。
座ると短冊のお品書きが目に入る。まだ運転しなければならないので、アルコールはたのまず、晩ご飯として食事を楽しむことにした。


短冊の中で一番気になったのは「うな丼」。海の幸が豊富な中、何故?と思った。何を隠そう私はエセ鰻評論家だ。エセな私は手ごろな価格のものしかすすんで口にしない。(人からいただければ喜んで口にする。)このうな丼の価格は1,000円。土地柄も考慮にいれるとなかなかきわどいラインだ。しかし他に美味しそうな、この土地でしか食べられないと思われるようなものを腹に入れる代わりに鰻を味わうというのは自分でも悩んだ。妻にも反対されたが、これを押し切って頼んでみた。

反対した妻は無難な観光客(<室蘭では観光なんてしていないけど)らしく「三色丼」(うに、いくら、かに)を頼んだ。二人とも汁物として、カニ汁というものを頼んだ。他に頼んだのは、タコ刺しとハラミ。

カニ汁とは、カニが入っただけの味噌汁と思えば間違いな。味噌汁だけが入った丼に真っ二つに割った毛蟹が入っている。それだけのものだ。見ただけで楽しめる一品だ。今まで何ヶ所かで毛蟹を売っているのを見て、大体の価格を知ってるだけにこれには驚きである。このカニ汁500円なのだ。つまり二人分(=蟹1匹分)でも1,000円にしかならない。カニも食べられるようにと、キッチンバサミも用意してくれた。ミソは美味いが足などはダシが出きってほとんど味はなかった。しかしそれでも食べてしまう私は貧乏人。
タコ刺しは大きめに切ってある。吸盤も大きい。この吸盤の歯ざわりがなんとも忘れがたい。ハラミは2,3切れ出てくるのかと思ったら、10切れ以上盛られて出てきた。これには参った。


最後にエセ鰻評論家のうな丼の評価だ。
まず出てきた時に驚いたのは、鰻が2枚入っている。そしてとても厚い、ふっくらしている。見ただけでもただ者ではないのは分かった。口にして衝撃が走った。私の鰻データ・ベースにはない味なのだ。他のものとは微妙であるが確実に明らかに違う味だ。基本的な考え方が違うのだ。
タレに甘さ、辛さがなく、鰻の風味やコクを最大限に引き出している。鰻料理とか蒲焼という枠を取り去り、魚料理として一から考え直したという感じだ。ご飯にはタレはほとんど付いていない。こげた部分も見当たらない。タレは付けたのではなく煮たのかもしれない。一般的な蒲焼の作り方とは違う作り方をしているようだ。
独立してご飯のおかずとして食べられるものだ。再びこの味に会えるのはいつの日か、と思いながら口にした。


こうなってくると他のお客さんの料理にも目が行く。どれも量が多い。魚がデカイ。見た目が豪華。煮魚や焼き魚が何の飾りもなく皿に乗っているだけでもそそられるのである。
ちなみに私達の会計は 4,300円。大当たりの晩ご飯だった。ちなみにこの値段は昼食と全く一緒である。




8:20 店を出る。思ったより長居をしてしまった。うーにーはちょっとふてくされている様子。雨が降っているので、うーにーのご機嫌取りもできすに、そのままフェリーターミナルへと向かう。
高速を下りてから暗い夜道を走ってきたが、ターミナルの手前に白鳥大橋という橋の周りだけはとても綺麗だった。Nifty の旅のフォーラムで「室蘭へ行ったらこの橋を渡るべき、」と教えていただいた。貧乏人の私は通行料を取られるのでは、と心配していたがそれもなかった。
橋がライトアップされて綺麗だし、渡ってみると入港している船の灯り、大きな工場の明りがとても綺麗だ。工場の明りも観光サービスのためか遊園地のごとく数珠繋ぎである。残念なのは、強い風雨のためそれがよく見えないことだ。


8:45、フェリーターミナルに着く。まずは妻が乗船手続きに行く。車で待つ私は外の風雨を眺めて船の乗り心地を心配した。
手続きから帰った妻を含め3人で車の中で時間を待つ。うーにーを車に置いて人間はターミナルでのんびりしたいところだが、今晩一晩車で過ごすうーにーのことを考えると、人間だけターミナルへ行く気になれない。
9:30、あまり雨に濡れない所を選んで、うーにーにオシッコをしてもらうことにした。しかししてくれない。いつまでも雨の中「何やってんの? 早く車に戻ろうよ。」と言っているかのようだった。結局、濡れただけだった。明朝までオシッコは我慢できると思うが、いつもと違う環境なので心配だ。

10:00、妻は待合室へ。私は車に残る。待合室に向かう妻を気にしない様子のうーにー。私達どちらの顔も見ようともしない。これから起きることが分かっているのか、すねているようにも見える。私は雑誌を読みながら乗船の時間を待つ。私を無視し続けるうーにーとともに。

10:45、乗船。今まで私のことなど知らぬ素振りのうーにーが、明るくザワザワした雰囲気を感じてか、ちょっと落ち着かない様子。車を止め、私が車から出た時までは平静を装っていたが、鍵をロックした瞬間は慌てた感じで私の方を見た。ここで未練をもっては可哀想なので、すぐに背中を向けて客室へ。

妻の視線の先には、テレビがある。

客室は二人部屋一等。二段ベッド、クローク、洗面もある。鏡付きのカウンターにはテレビが置いてあり、お茶も飲めるよう用意されている。カウンターとは別にテーブルと椅子が固定されている。
ペンションなどの部屋に比べれば狭いのは当然だが、不思議と落ち着ける空間だ。ここにうーにーがいないことも不思議に感じる。宿泊施設も犬OKのところが増えてきているのだから、そのうち一等(個室)くらいは犬連れを許してもらえないものかとと思った。


停泊中から揺れていた船だが、出航して30分もするとゆれが激しくなった。何かにつかまっていないと立っていられないくらいだ。今、この旅行記を書いているのだが気持ちが悪くなってきた。この部屋はトイレが遠いので元気なうちにトイレに行き、本格的に気持ちが悪くなる前に寝ることにした。うーにーのことも心配である。

寝る前にテレビで天気予報を見ると、九州に台風が来ていて全国的に天気は悪いらしい。天気予報を見る限り、明日の鬼首は天気がもちそうだ。


ああ、気持ちが悪い、、、。



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