礼文林道にて、
   ふと、東京からここまでの距離をおもう

北海道旅行記
  1999
 
     9月20日(月)
 
 礼文島 一日目
       昼食後 〜

 
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人間は贅沢なうに丼やトド肉焼きという珍味を楽しんだので、次はうーにーを遊ばせてあげようとメノウ浜で遊ぶ。すると地元の人が犬を連れてやってきた。その犬とうーにーを遊ばせている間(といってもうーにーは遊びたがらない。)犬の話をした。この島には獣医さんもトリマーもいないことが分かった。獣医さんに見てもらうには船に乗って稚内まで行かなければならないらしい。
この方から礼文滝までのコースを教えてもらった。途中、何ヶ所か注意しなければならないところがあるが、それさえ越えられれば行けるらしい。他にも犬と歩くのによさそうなコースを幾つか教えてもらった。明日の参考にさせていただくことにする。




本当は、元地から礼文滝方面への道は落石の心配があるので通行禁止になっている。しかし、今日のところはその危険がなさそうということで行ってみることにした。落石よりも岩がゴロゴロしているような道が続き犬には難しい。(人間にも。)さらに段差があるところが何ヶ所かあり、うーにーがためらえばすぐに引き返すつもりだ。小型犬なら無理な道だ。岩から岩へ飛び移り続けられる犬でなければ無理だ。

うーにーがどこで挫折するかと思ってみていると、それが分かるのか意地になって進んでいるようにも見える。必死のような得意のような珍しい表情で次の岩を探して、飛ぶように、しがみつくように、進んで行く。そんなうーにーでも、進めない所があった。そこはうーにーだけ海に入ってもらい、どうにか進むことができた。
人間は大きな岩を飛んで(この距離がうーにーには無理)その先の岩から浜に飛び下りればいいのだが、妻が着地したところはぬかるんでいた。岩の上から見ると砂のように見えるのだが、そこは柔らかい粘土のような状態で、深く足を埋めてしまった。当然靴はドロドロで重くなる。やれやれという感じである。
ここを越えると砂利の浜が続くので歩くのに苦労しない。浜には大量の昆布が打ちあがっている。まさかこれがそのまま売り物になるのではないと思うが、そのまま食べられそうな昆布が浜を覆い尽くしている。

礼文滝は本物と小滝という2つの滝がある。この島はそれはど大きな(高い)山があるわけでもないのに、この滝以外にも島のあちこちで水が沸いている。とても不思議だ。

余裕の表情を見せるうーにー

本物の礼文滝に着くとまずは記念撮影。そして一休み。妻は靴の汚れを落とす。くつろぎの時間にうーにーは街中では絶対やらないことをやってくれて驚いた。滝と浜の間に水が沸いている所がある。そこにお尻をぺったり着けて座っているのだ。すました顔して「ただ座っているだけよ」という感じで、水溜りの真中で座っているのだ。今までこんなことは見たことなかったのでビックリである。どうせ帰りにも海に入らなければならないので、濡れることはいいのだが、何を考えているのだろう?

帰りは同じ道を引き返すだけ。昆布の絨毯を踏みしめ、海から岩に登り、岩場を越えて元地のメノウ浜へと戻る。
もう人間の住む地区に近づいた頃、浜に打ち上げられた昆布を集めている人達がいる。もしかして、これが売り物になっているのか?


滝から帰ってきて、水分を取っているところ


うーにーは海水でずいぶんと濡れてしまったので、メノウ浜の小石で軽く乾かした。そんな程度のことしかしてやらなかったので、うーにーは体が痒そう。

この時、3時半。まだもう1ヶ所くらい回りたい。しかし遠くへは行けないので、礼文林道へ行き、礼文滝を上から見てみようということになった。
車で移動中、浜から上げた大量の昆布を吊るして干している人達がいた。やはりこれが利尻昆布などとなって売られるらしい。(利尻島は礼文島の隣の島。)

この直後にうーにーは轢かれそうに
なった


礼文林道は車が一台走れるくらいの林道である。林道に入ると登り坂で道は細く荒れている。しかし現在途中が通行止めになっていて、他に車が入ってくることもないようなので、問題なく進める。坂を登りきると道もきれいで見晴らしもいい。林道脇から延びる遊歩道を見つけたので「これが礼文滝の上に行く道だ!」と勝手に思い込み進んでみる。確かに断崖絶壁の上に出たが元地の集落の上だった。ちょっとヤケをおこした私はうーにーをはしゃいで車まで走った。
うーにーは勢いがついていて、私より先に車道まで走って行った。ちょうどそこへ車が走ってきた。心臓が止まるかと思った。車が止まってくれて何事も無かったが、もう少しタイミングが悪ければ大事故になっただろう。何で車が、と思ったが、とにかく車が通る道なのだ。私の勝手な思い込み、不注意が原因である。運転している方に頭を下げて一件落着である。
車を先に進めると他にも二台の車とすれ違った。二台ともこの先にある作業所に出入りする車だということが分かった。

その作業所の入り口を過ぎて、礼文滝を探す。しかし道に大きく深い溝があり進むことができなくなった。ちょうどそこには小高い丘があったので、それに登って今日はオシマイにしようということになった。
丘に登り、周りを見渡すと滝へ続くと思われる道を発見。それは深い溝のある林道の先に入り口があった。多分、車を止めているところから 500mくらいだろう。それを歩いて進む。進みながら、うーにーの体調が気になったので少し走ってみた。まずは着いて来る。次に「美奈子(妻の名)の所へいっておいで。」というといつもは走っていくのだが、少し歩いて戻り、妻が来るのを待っている。やはり疲れている様だ。

お疲れの様子の二人


林道から滝までの道の入り口に到着。立て札があり、ここが目的の道であることが分かった。やっと見つけた!、という感じであるが、妻もうーにーもお疲れの様子。
とりあえず進んでみる。道の両側には背の高い熊笹が茂っている。周りは小高い丘が連なっている。そしてここは島の西側。夕日がその丘を長い影を着けて照らしている。私はこの島に来るまで、このような景色を見た記憶はない。とても不思議な気分だ。
私はこの気分をもう少し楽しみたかったが、うーにーも妻も明らかに疲れている。うーにーは頭が下がり、足の上がりが遅くなっている。時計をみると4時半を過ぎだ。これ以上歩くと帰りが遅くなりそうなので引き返すことにした。目的地を目の前にして残念なことだが、明日のこともあるし、ここには人がほとんど来ないここで、疲れた者が怪我でもして動けなくなったら大変なことである。
4:40、全員無事に車に戻り、ペンションに向けて出発。今日の探検はここまで。





5:00 ペンション着。妻がうーにーの足拭き用タオルを濡らしに行っている間、私はうーにーと玄関で待っていた。そこにペンションのオーナーとオーナーのお母さん、お手伝いの人と思われる二人の計4人に可愛がられた。やはりこの大きさの犬が家に入ることは不思議に思えるらしい。

部屋に戻るとまずうーにーを綺麗にする。いっぱいタオルを使って、うーにーのクレートの屋根がタオル干し場になるほどだ。
綺麗にされることから解放されたうーにーは、水をガブ飲みし、ドッテンと寝たかと思うと、ムックリ起き上がり胸の辺りをガブガブ噛んだり舐めたり。やはり痒いようだ。それは長くは続かず今度は完全に寝てしまった。
しかし6時前、つまり自分のご飯の時間になったらムックリ起き上がり、のそのそとケージの中に入っていった。疲れていても体内時計は正確に動いているようだ。ご飯を与えると、いつものようにあっという間に食べて、そして今度は泥のように眠った。

そんなうーにーを確認して人間は食堂へ。今日のメニューも豪華。魚介類好きにはたまらない。目玉はやはりウニ(この島ではノナ)。もちろんミョウバン処理無し。この島を出たら当分食べられないと思うと、ちょっと悲しい。面白いのは、小さなホタテの味噌汁。養殖ホタテの間引いたものらしいが、今まで見たことがない。「ホタテの味噌汁」、そう考えただけで豪華な気分になってしまう自分が、ちょっと情けなく思えた。

人間が部屋に戻ってもうーにーはグッタリしたまま。9時頃、無理矢理起こしてオシッコ散歩に連れ出したが、部屋に戻るとすぐに寝てしまった。



テレビを見てたらインターネット(プロバイダ)のコマーシャルがやっていた。コマーシャルでは、もうすでに普及しているから、あなたも入りなさい、という感じのコマーシャルだが本当なのだろうか?
この島に来るまでに、グレ電探しに苦労したし、この島ではグレ電が見つからない。Nifty に関しては道西にはアクセスポイントも少ない。

東京から遊びに来た人間の感覚としては、通信手段としてインターネットが繋がってくれるのは嬉しいが、もしここに住んだならば、多少の情報は欲しいがあえてインターネットで楽しもうなんて考えないかも、。ここではうーにーの遊び場はいくらでもありそうだ。
そう考えると、うーにーを東京で暮らさせることが、可愛そうにも不自然にも思えてしまう。ブリーダーさんが、都会に暮らしている人へ子犬を譲る時、慎重になる気持ちがとても分かった。

さてさて、明日はどんな一日が待っているのかな。


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