3月17日(その4)

PN君、OS君、ついでにSZちゃん、そして僕と4人の理想の馬の居る生活について語った。(ABちゃんと婚約者さんは重い空気の途中で、帰って行った。すでに結構遅い時間である。)僕とPN君は現実派で「足として使う。あと、お互いの気持ちが合えば一緒に遊ぶ」程度のもので、OS君とSZちゃんは「みんな自然に帰って、人間も動物もみんな一緒にそして余計なもの(>公害やつまらない習慣など、人の体に、心に、良くないもの、と思うが完全には分からなかった。「一つのカレーの二人」みたいに現代社会的なもの全てを否定する訳ではないのだが、それに近いものを感じた。その距離がどれだけなのか僕には分からなかった。)が無い生活がしたい。」と言う感じで、多少違うのは、OS君は「理想なんだから電気もガスも使わない生活がいいナ。」と言うのに対しSZちゃんは少し現実的で、「電気やガスのある生活でもいい。気持ち良ければそれでいい。」という違いはあった。

最後に久野さんに一番聞きたかった、3ヶ月の旅の中でどれだけ他の馬との生活を体験したか。簡単に言えば、他の馬の世話をどれだけ手伝ったか、を聞きたかった。これもなかなか答えてくれなかったが、どうしても聞きたかったのでしつこく問うと、最後に聞き出せた言葉は「その場所、その場所でとても特有のやり方をしている。自分には目を背けたくなるようなやり方がほとんどだ。その中に入って手伝うことは出来なかった。」と言うことだった。とても悲しかった。
久野さんの口からこの言葉が出る前に「3ヶ月の旅を本にしたい。自分の中で整理をつけたい。」と彼の口から出ると、PN君が「それは久野さんの問題やろ。」と突き放すように答えた場面もあった。
このやり取りを聞いて今まで理解出来なかったことが、少し理解出来たような気がした。このやり取りは、協力してくれる人に対する久野さんの態度について問いただしていたときに出た話だったので、PN君が感情的になってこんな言い方をしているのかな?、旅でどんなことを見てきたのか興味ないのかな?、と思ったが、PN君も久野さんが旅から帰ってきてから話を聞いているうちに、役に立ちそうな(馬の)話しは聞けないと判断していたらしい。つまり本になっても読む意味を感じないのだろう。そんな内容の旅なら、PN君の3ヶ月間に対する怒りは当たり前のことと思う。

ゆっくりと言葉を間違えないように、静かに睨み合うように、話しは続いた。PN君が言いたいことを一通り言い、久野さんがそれについて考え直す、と言った感じでお開きになった。OS君の家に着いたときは午前2時半であった。この島に来てこんなに夜更かししたのは初めてだった。

重たい雰囲気の中、世間話もチラホラしていた。そんな中、OS君とPN君が「ゴールデンウィークは奥さんと来て下さい。奥さんとも話しがしたい。」と言われた。何を話したいのだろうか。