3月16日(水)(その3)
牛や馬達の群と少し距離を置いて、お昼にすることにした。お弁当はOS君の手作りだ。おにぎりとお新香、それにゆで卵、あと何か作ってくれたが忘れてしまった。こういう場所でのお弁当は、おにぎりやゆで卵が印象に残る。単純な方がよく似合う。
牧場の中に、幾つかパイパイの石があった。パイパイとは内地でいう「お祓い」に似ている。何か悪い事があったら(内地風に言うなら「祟られている」と思ったら)これを行う。この地には宗教はないと聞いているが、沖縄各地にあるシャーマン信仰のようなものはあるようだ。僕もこのパイパイについては詳しくは知らない。とにかく行う場所が何故か外なのだ。しかも家から遠い場所であったりする。目の前にあるこの石から人の住んでいる一番近いところまでは、歩けば一時間近くかかるだろう。
少し歩き、牛や馬がゴロゴロしている所へと進んでいった。この春に産まれたばかりの仔馬がいて可愛い。去年産まれた馬もまだまだ仔馬という感じがして可愛い。お母さんから離れて一人で遊んでいるときにお母さんが近くにいなくて、オロオロしてしまった仔馬もいた。母子の絆は強いようで母馬は自分の子供以外の面倒は見ないようだ。近くに寄ってくると、追い払う母馬もいた。警戒心が強くなっているのだろう。僕たちも近寄ってもさわれた馬は一頭だけであった。あと2〜3日で出産といった感じの母馬もいた。張り出しているお腹は、暇さえあれば動いている。お腹の中の仔馬は早く外に出たいと催促しているのだろうか。大きなおなかをしていても、まだおなかが動いていない馬も多い。
牛の方は仔牛が警戒心が強く、近づけなかった(近くを通ろうとすると逃げていった)。親牛は余裕を見せて「デ〜ン」と動かなかった。僕は牛の扱いは慣れていなので近づきたくなかったが、歩く道筋上近づかなければならなかった。それくらい牛や馬がいっぱいいる。馬は近くを通ると逃げる感じがあったが、牛は気にとめても動かないか、逆に近寄って来る。
北牧場で一頭の種馬を見つけたが仲間外れになっている感じだ。その体は年末に見たときと同様に貧弱に見える。まだここの生活に慣れていないのだろうか。ストレスを感じているように見えた。

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