3月11日(その1)

昨日の分の日記を書いていたら午前11時くらいになってしまった。その後ボチボチ鞍作りをしていたらMZ君(製糖工場で働いていたが終わってユキさんちを手伝っている)がスカイメートと航空チケットを取りに行くと言うので一緒に行って僕もチケットを買うことにした。
彼は祖納の旅行代理店に取りに行くと言っている。足は製糖工場で一緒に働いていた人から借りたというバイクだ。僕は空港でチケットを買えるものと思っていたので空港まで乗せてもらうことにした。僕を空港で下ろした彼は祖納へと向かった。祖納で用を済ませたらまた空港に戻ってきて僕を拾ってもらうことにした。

空港のカウンターで「チケットを買いたい」と言うと「ここでは扱っていません。」そしてチケットを扱っているところの電話番号を教えてくれた。
この電話番号はMZ君が行った旅行会社の電話番号である。祖納へ行けと言われてもMZ君はもう行ってしまった。僕一人空港に残されたわけだが、空港に入ったとき異様なものを感じた。
作業服を着ていた僕が周りを見渡すと、そんな格好の人は一人もいないのだ。島の中で作業服を着ていて浮いてしまう場所は初めてだった。まだ午前の便が出発していないらしく多くの人がいた。周りの人の視線が自分に集まっているのを確かに感じた。ここは島の中でもちょっと違うところらしい。

ここから電話で予約して彼を待つことも考えたが、慣れない視線も辛かったし、僕を下ろす時に「少し時間がかかると思いますよ。」と言ったのを思い出して、「えーい、祖納まで歩いてしまえ。どうせ祖納まで一本道だ。彼のバイクが来ればわかるだろう。」と考え祖納に向けて歩き始めた。
祖納はなかなか遠い。そしてやっと旅行会社について予約を済ませた。会社の人に「MZ君と言う人が来ませんでしたか?」と聞くと「30分くらい前に来ました。」と教えてくれた。30分も前に来て空港から歩いて来た僕とすれ違わなかった。どうしたことだ。どこかに寄り道しているのだろう。今頃彼は空港に行っているのかも知れない。とにかく?だ。そしてどうやって久部良に帰るか途方に暮れた。バスの時刻までは随分あるし、まさかタクシーに乗る気もしないし、、、。

とにかくユキさんちに電話をして現状を話して「お昼は用意しないで下さい。」と告げた。考えていても仕方がないので久部良に向けて歩くことにした。空港からの2倍以上はあると思うと気が滅入る。「誰か知っている人はいないかなー」と虫のいいことを考えながら歩き始めた。