3月6日
今日も仕事。午前中からGNさん夫婦とさらに別のお手伝いの人が来てくれた。GNさんの奥さんは10時頃きて午前中の仕事が終わったら帰った。午後はGNさんと別の手伝いの人が手伝ってくれた。もちろん午前中は久野さんもいる。8時から10時くらいまで久野さんが倒しを手伝ってくれたお陰で2枚目の畑も4時頃には倒しが全て完了した。山も8つか9つ出来た。(記憶が定かではない。)皮むき(島の言い方で「かすぐ」と言う)も7割くらい終わっている。明日中に最後の畑久部良原の畑へ移れるはずだ。
人を雇うような専業農家の畑では、休み時間にお茶が飲み放題(クーラーポットの中にいっぱい入っている)だがNSさんはそんなものは用意しないのでお茶は自前である。10時と3時にコーラが一本ずつ(今日は珍しくウーロン茶の缶だった。)出るだけだ。たまーに、お菓子か黒糖が付く。それだけでは水分が足りないのでお茶は自前となる。以前は毎回ウーロン茶のペットボトル(1.5L)を買って持って行っていたが、お金がもったいないので、夜ユキさんちで作ってもらって、朝それを久野さんに持ってきてもらうようにした。以前一度持ってくるのを忘れて10時の休みの時に取りに行ってくれたことがあった。しかし今日は「昨日の晩お客がウーロン茶を飲んでしまったので今日はない。御免。」と言うので、350円を渡して「買ってきて」と頼んだ。(久野さんはお昼で仕事をあがる)「じゃあ、後で買ってくるよ」と答えて去っていった。そして僕は弁当を食べ始めた。
「僕が弁当を食べている間に持ってきてくれたらいいなー」と思いながら弁当を食べていたが、結局食べ終わってもお茶は来なかった。「でも、昼休みが終わるまでには来るだろう、、」と思っていたが一時になってもまだ来ない。一時からの仕事は喉がカラカラで口の中がベトベトになってきた。口の中が砂っぽくなってきたのでツバを吐くのだがほとんど出ない。口の中は相変わらずだ。「あー、何時になったら来るのだろう。動物を扱う人が水分の補給をおろそかに考えるとは何事かー!」と思いながら待っていたがついに3時になってしまった。
NSさんからウーロン茶の缶をもらって、ダダダダダーと口の中に流し込んだ。何でもうないんだ、と怒りたくなるくらい少なく感じたウーロン茶だった。怒ったところで何もない。仕方がないので諦めて畑の中で倒れて「あー、これで5時まで働くのやだよー」と思って10分くらい寝ていた。すると久野さんのトラックがやって来た。ウーロン茶のペットボトルがやって来たのだ。手に取るのと同時にフタをあけすぐに喉に流し込んだ。思いっきり飲んだ。せき込みながら飲んだ。半分(750ml)ぐらい飲んで元気が戻った。3時休みの後は体も軽くとても快適に仕事が出来た。結局このペットボトルは倒し終わった後と、仕事が終わったときに飲んで全て飲み干した。ユキさんちで作ってもらうよりおいしい気がする。飲んで元気になった自分を「ほうれん草を食べて元気になったポパイ」の様に思えて滑稽に思った。
帰り道、NSさんに車で送ってもらっているとき、「2千円貸してくれ。酒を買う。」と言うので「持ってない」と答えるとひつこく「うちに帰ればあるだろう」と言うので「ない」と答えた。「じゃ、千円でいい。」というので、作業着のポケットから五百円玉を2つ取り出して渡した。お酒を飲まない僕は「とてもむなしい人生だな」と思ったが、本人は楽しいのかも知れない。酒の島「与那国」に住み着いた人間なのだから。

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