二月十一日

NSさんがお腹をこわして、ついでに風邪もひいたようだ。とても辛そうだ。
最近、仕事が終わってから飲んで車の中で居眠りしてしまうことがあるらしい。そのせいだろうか。


二月十二日

2、3日前からGT君という沖縄の大学で環境関係の研究をやっている人と、ユキさんちで度々会い(晩御飯を一緒に食べたりした)、今日は一緒にNSさんの畑で働いた。彼は大学生の時経済学を専攻していて、卒業してからその道に入った人で、色々勉強が大変だそうだ。

今日で桃原(トウバル)の畑は終わりそうだ。午前中に倒せるキビはほとんど倒してしまった。午後になり、積めるキビは積んでしまいやることが無くなってしまった。そこで初めて皮むきをやった。皮むきは後にも先にもこの時だけだ。
この皮むきの時、普通の鎌と皮むき用の先の割れた鎌の二本をNSさんから渡された。僕はとりあえず(好奇心で)普通の鎌を使ってみた。全くダメだ。途中で引っかかってしまい、うまく出来ない。
見るに見かねたGT君が鎌を交換しようと言ってきた。「皮むき用でも出来ないかも、、」などと考えながら交換。彼は手慣れたもので普通の鎌でスイスイ皮を剥いていく。その手つきに見とれながらも皮むき用の鎌を使ってみる。さっきの苦労が嘘のように皮が剥ける。自分が魔法使いになって皮を剥いているようだ。人間ってすごいなー、と思った。ちなみにNSさんは普通の鎌を使うことが慣れていて、皮むき用の鎌ではうまく出来ないと言っていた。本当だろうか?

今日で桃原の畑が終わった。終わったのは3時ぐらいだったが、伝票の関係でこの日は終わりとなった。
お風呂に入りテレビを見ていると東京は大雪で山手線が止まるほどだと言っているが、ここにいるとそんなことは(画面で見ていても)想像もつかないし、遠い遠い所のことで関係ないことに思える。今日は土曜日で美奈子が休みだがどうしているだろうか。

まだ明るいウチに小便のため表に出たら、入り口のすぐ横に紫色の大きな蟹がいた。何でこんな所にいるのか解らないが、何だか哀れを誘う蟹であった。夜、ご飯の時にこの蟹のことを聞いたら、ユキさんが「それは便所蟹だー」と言っていた。この島ではドブなどにいるらしい。