2月6日(その1)
この日記の原稿は市販のノートに毎日思いつくままに、記憶に残っていることを書いている。この日の書き出し部分は「字」が違う。生まれて初めて泥酔と言うのを体験した。そんな中でも日記を書こうとし、初めの5行は、普通の3倍の大きさのカナ釘流の文字となっている。
朝、除草剤撒きをすると言われ、NSさんに着いていくと、キビ狩り初日の日に来た作業小屋の所に着いた。あの日と同じように他の農家の人に会い、何やら話を初めて、結果として僕はそのおじさんの畑を手伝うことになった。NSさんは手伝わない。僕一人だけだ。畑には着くと何人かのおばさんに島の言葉で話しかけられた。なんと答えて良いか戸惑っている僕を見てNSさんと話をつけたおじさんは「内地の人よ」と説明してくれた。
8時を過ぎた頃一斉にキビ狩りが始まる。全員で10人以上のおじさん、おばさんがいる。若い人はいない。その人達が文字通り一丸となってキビ狩りを始めた。すごい気合いだ。すごい勢いだ。とても追いつけない。これが本当のキビ狩りなのだろう。畑は綺麗で雑草を除けたり、どこにあるか分からない根本を探したりする事はない。その代わりにひたすら刈り続けなければならない。加えて今日は暑い。27℃はあるだろう。ばてる。今朝は「今日は除草剤撒き。キビに比べれば簡単な仕事」と言われたので朝食は簡単に済ませた。これも効いている。頭がボーとしてくる。とにかく10時休みまで頑張らなくては。
仕事を始めた頃(8時過ぎ)から気になっていたのだが、畑のはずれの道路側で大きなボリュームでカーステをかけている。皆と離れたところだ。そこでも仕事をしているようだ。そんなことを頭の隅で考えながら、目の前のキビをひたすら倒し続けた。
初めのウチは「早く時間が過ぎないかな」と思っているのだが、そのうち何も考えられなくなる。ときどき頭によぎることは「辛い、けど、死なないだろう」、そんな言葉だった。

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