2月5日(その3)
浜探しでだいぶ時間をとってしまった二人は久部良に戻ることにした。彼はカメラを持って歩き蝶を撮っていたので、蝶がよく見られる比川林道から戻ることにした。比川林道の入り口まで彼と歩いていき、その先は僕はバイクで、彼は徒歩で行くことにして別れた。
まだ、日も高かったのでダンヌ浜までバイクを走らせ、誰もいない浜で昼寝をすることにした。贅沢な生活にも思えるが、昼寝をしていてもこれからのことを考えてしまい、太陽がうっとうしく感じる。30分ほど寝ていたであろうか、浜風が冷たくなってきたので帰ることにした。バイクの置いてある駐車場に行くと、ちょうど布団屋さんがやって来た。「たこを捕ったので、一緒に酒を飲みなが夜食べよう」と言うので、とりあえず話だけ聞いて、僕はユキさんちへ向かった。
ユキさんちに着くとさっき比川で一緒だった彼と、彼といつも行動を共にしている22才(この春大学卒)男の子がいた。この男の子が比川では一緒でなかったので、(比川で)彼に聞いてみると「船の中で知り合っただけで、別に一緒に行動しているわけではないですよ」と返事が返ってきた。
久野さんにこの二人を馬に乗せて、ついでに馬の運動をするように言い付けられた。使う馬は今日、久野さんが世話をする当番の馬(久野さん、PN君、OS君の三人で、毎日違う馬を世話するように当番制にしている)である。馬の名前を聞いて、久部良バリまで行くとそこにはポコチとピンタの二頭がいた。その時「どっちだったけな」と分からなくなってしまった。悩み始めると「どっちがポコチでどっちがピンタか、どっちが爺さんでどっちが若者か」分からない。「まあ、どうでもいいかな」と思い始めた頃に、ちょうどPN君が来てくれた。「じゃ、僕が若い奴の運動するから、弓削さんこっちで二人を乗せたって」と話は付いた。
若い二人に簡単に馬の操作の仕方を教えて、乗せてみた。22才は2、3度乗っているのでどうにか馬は動いてくれた。25才は初めてだったので、一人で馬を動かすことはほとんど出来なかった。今日は土曜日なので昼の2時から島の子供達を乗せたはずだ。そのせいで馬も動きたくなかったのかも知れない。

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