1月22日(3日目)
今日も天気があまり良くない。昼まで家にいて午後からバイクで島を回ってみようと思った。知らない道を覚えたかったので、ガソリンスタンドの横から農道に入って行くと、右に池を見てその先は畑と荒れ地と小さな牧場ばかりだ。所々に作業用の小屋がある。道なりに進むと突き当たったので少し悩み、右へと進んだ。右を選んだのは特に理由はないが左へ行くと大きな道へ戻ってしまいそうだったからである。
右に折れると短い下り坂があり、左側には小さな牧場がありその牧場の中に小さな池がある。池を過ぎるともう牧場は終わり。すると今度は上り坂。上り坂の途中で左側を見ると農作業をしている人がいた。農道に入ってから始めてみる人間だ。珍しがってしげしげ見ながらバイクを走らしていたが、その人がNSさんであることに気が付いた。気が付いたときは、もう2、30mは行き過ぎていたが、無視をするのも失礼と思い、戻って畑の中に入っていった。私の顔を見るとNSさんは、「仕事をしよう」と言い出した。今日はのんびり一人で島内見物と思っていたが、天気も良くないので「ま、いいか」的に無言の承諾をした。この時午後2時頃だった。
言われるままにNSさんの車に乗り農道を走る。農薬を撒くために水を汲みに行くというのだ。ずいぶん走って着いたところは、畑の中の作業小屋だ。車を止めたNSさんは、しかめっ面をして「キビ狩ろうな」と予定を変更した。理由が何だったか僕にはわからないが、とにかくキビ狩りになった。
僕の仕事は手斧でキビを倒すこと。と言うより引っぱり出すと言った方が正しい。普通はまっすぐに立っているサトウキビだが畑の端の方は風を受けて寝てしまうことがあるのだそうだ。特にここの畑のキビの種類は太くて背の高くなる種類なので、寝やすいという。
僕はジャングルのような畑に入り、キビの立っている部分をつかみ、揺らし根本を確かめる。芋づるを伝うように根を探す。探し当てたらそこを手斧で切る。(普通は倒すと言うところだが、すでに倒れているので、そう言うわけにはいかない。)次はそのキビを折らないように引っぱり出す。これがなかなか大変。力もいるが、力任せにやれば折れてしまう。結構時間がかかってしまった。NSさんは呆れているようだ。
畑で一休みしている時にいくらか話をしたが通じない。NHKのおかげで標準語を聞くのは慣れているようだが話すのは不慣れのようだ。そんな会話の中で「一緒に住もう」とNSさんが言い出した。別に断る理由もないので一緒に住むことになった。
こんな仕事を2時から5時の3時間だけやった。やっている時は体が動くものだが、夜になって腕がとてもだるくなってきた。

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