1月21日(2日目)   その1
朝、NSさんがやって来た。私の寝床を見て、「それは夏の寝場所だ。そこは寒いだろう。冬はソファーで寝な。」と教えてくれた。確かに寒かった。よく考えてみれば北側でもある。今日からはソファーに寝よう。
キビ狩りを始めるのは2、3日後からである。NSさんはバイクを貸してくれるために祖納からやって来た。ついでにキビ狩り用の合羽と長靴も買ってくれることになった。この人は農業一筋、と言った感じの人に思える。(直感であり根拠はない。)

NSさんは僕を車に乗せ走り出す。全然知らない畑の中の道を進み、農作業用の小屋の前で止まった。小雨の降る中、小屋の横に無造作に置いてあったバイクのエンジンをかけると僕に乗れと言う。
ここまで来る間も話をしてきたが、言葉を聞き取ることが出来ない。方言で話している訳ではないのだが、どうしても聞き取れないのだ。この時もバイクに乗れ、と言うのはわかったがその後どうしろと言うのかわからない。車は走っていってしまった。僕はとりあえず、車を追いかける。小雨の中、眼鏡の僕にはつらい運転だ。加えて上り下りやカーブも多い。車は何度か視界から消えしまったが、どうにかついて行くことが出来た。開けた平地へと下りていく大きなカーブを眼下にした頃、その先に祖納の部落が見えてきた。そのまま車について行くと、車は止まった。そこが祖納の家であった。

久部良の家とは違いちゃんとした家である。小屋という感じは全く無い。なかなか広い。仏壇もご先祖様の写真も賞状も飾ってある。これはすべて大家さんがそのままにしている物だそうだ。なかなか立派に見えた。ただし、お風呂は使えない。それが大家さんとの約束だそうだ。
この日はNSさんとここで別れた。僕は久部良の家へと戻る。そして、また畳ベットに戻った。(ソファーは夜から、、、)