移住を考え、与那国をよく知ろうとキビ狩りに行くことになった。とりあえず、2、3週間だけと考えたがそんなことでは、何も分からないと思い、約2ヶ月のフルシーズン参加することに決めた。目的が「与那国を知ること」であるし、美奈子にも分かって欲しいので、メモ程度の日記を書くことにした。
日記というものは人に見られると恥ずかしいものなので隠れて書きたいものだ。他人と一緒に暮らしていたので相手に隠れて書くことはとても苦労した。少しの合間を見てノートを取り出し、書くべきことを思い出し、記入し、そしてまた隠す。この一連の動作を短い時間でやらなければならない。記憶力については人並み以下である私にとって、それはとても大変な作業であった。もう少し時間があれば些細なことも書けただろう。パソコンに打ち込むときに多少は補うことは出来ても、忘れてしまった事も多分にあると思うと残念だ。
私は、ものを書くことが苦手である。大学生の時にレポートを書いたり、コンピュータの会社にいたとき議事録を書いたりしていたのでその方面での「書く」は少しは克服できたのだが、日記については全くと言っていいほど書けなくて苦労した。ノートの初めの方は文章ではなく箇条書きである。少し書けるようになってもうまく書けず、1日分書くのに一時間以上かかった。
考えてみれば今まで日記などという物は書いたことがない。小学校、中学校の時、宿題であったはずだがまったく覚えていない。
最近、引っ越しの際に昔の作文を見つけた。その中に冬休みの日記の様なものを発見した。内容は「朝遅くに起きて、ご飯を食べて、テレビを見て、外に遊びに行って、帰ってきて、・・・・・・」と、こんな感じである。ご飯のメニューも、テレビの番組も、何して遊んだのかも分からない。あきれるしかない作文である。しかし先生の赤いペンは「おもしろい冬休みだったようですね」と、お褒めの言葉が書いてあった。きっと先生も諦めていたのだろう。
この先は、そんな私の日記である。

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