私達が見た雑誌で「手伝ってくれる人を募集します。」と書いていた人こそ、コマーシャルに与那国馬と出ていた久野雅照さんであった。そのことを知ったのは与那国へ行ってからのことである。与那国島では、馬の世話を手伝ったり、島の事を少しでも知ろうと島の中をウロウロした。島の中をウロウロすれば島の人の生活が少しはわかるだろうと思ったのだが間違えであった。昼間ウロウロしてもほとんど人と出会うことはなかった。暑い地方では当たり前のことらしい。



9日この島にいてわかったことは、

うまい食事を出してくれる宿は期待できない。
お風呂と言えばシャワーのことなので湯船はほとんど無い。(もちろん宿であっても無いようだが、捜せば湯船のある宿もあるらしい。ひどい宿になるとシャワーも水しか出ないところもあると言う噂を耳にした。)
宿の数は不思議なほど多い。
昼間、出歩く人は少ない。
仕事は(町役場、農協など以外は)ほとんど肉体労働のようである。
お目当ての与那国馬の仕事は動き始めたばかりで(失礼な言い方ではあるが)個人の趣味のレベルである。
冬は思ったよりも寒く感じる。     ......などである。


東京でも飲める「どなん」という泡盛はこの島のもの。「どなん」とは「渡難」(渡るのが難しい)が語源だと聞いた。
私達夫婦は「どなん」ではなく「舞富名」という泡盛の蔵を見学させてもらった。ここのご主人が与那国馬に深く関わっているからと聞いていたからだ。ご主人は見学の後も島内見学に連れて行ってくれたりと、とても親切にしてくれた。しかし馬の話しは、どうも噛み合わない。後で、分かったことだが、馬と深く関わっている方は、私達に親切にしてくれた方の息子さんだそうだ。
ちなみに「どんな」よりも「舞富名」の方が飲み易い。


これだけでは、この島に移り住むかどうかは決めかねてしまったので、久野さんの誘いもあり、1月末から始まるキビ狩りに参加するため、再びこの島を訪れることにした。この仕事に耐えられればこの島で生活していけそうだからだ。この島のキビ狩りについて立松和平氏は、「私は色々な肉体労働をしたがこの仕事が最もきつい仕事である。」というようなことを書いている。
キビ狩りが終わったら、何日か滞在して与那国馬の世話を本格的に見せてもらうつもりだ。