■ ２．おばまからの挨拶 第一稿
おばまからの挨拶パネルの元になったもの。
春花祭のお話をいただき、すぐに書き上げたものです。桜の季節でした。
考えても仕方ないですが、なぜこんなことになったのだろうという気持ちがあります。おばまもそんなこを考えているのだろうか。
多くの日本人は桜に思い出があるとおもいます。
いつか、花が咲き誇る夜ノ森の桜並木、三春の滝桜、そして夜ノ森駅のつつじを見てみたいものです。
あっしの名前は、オバマ。
国の一斉捕獲の時にいただいた名前でございます。
何処で産まれたか覚えちゃいません。
覚えているのは夜ノ森で暮らしていたこと。
そしてあの大地震。
人間たちはみんな逃げちまった。いつも食べ物をくれる人たちはいなくなっちまった。
毎日、自分で食べ物を探しだし、他の奴の食べ物にならないようにビクビクしながら生きていやした。
ある日、不覚にも捕まっちまった。
そして三春ってぇトコに連れて行かれ、あっしは「オバマ」って名前になりやした。
とんでもなく偉いお人と同じ名前らしいが、そのお方のことも知らないし、なんでこんな名前になったのか分かりゃぁしません。
とにかくあっしは「オバマ」って猫になったんです。
あっしが暮らしていた夜ノ森には立派な桜並木がありやした。
ちょうど今頃、人間たちが集まりあっしらに美味しい食べ物を恵んでくれたものでした。
三春にも立派な桜があるって聞いたが、見たことはごぜいやせん。
そこへ行って美味しいものを食べたかったなぁ。
三春にはどれだけいたか分かりやせんが、ある日ある時箱に入れられ東京ってぇ場所に連れていかれちまった。
それからは、もう動かないぞって頑張っているけど、あっしらの身分では明日どうなるか分かったもんじゃありません。
そんなことは三春で教わりやした。
おひかえすっても、三春で覚えやした。
知らない土地に行って落ち着いたら、これをやるんだってね。
あっしらは暮らしていたあの土地が大好きで、あそこで暮らし続けたいんだけどねぇ。
こんなポーズは知りたくなかったんだけどなぁ。
大地震が来てこんなことになっちまった。
東京の暮らしに不満はございませんが、あの夜の森の桜並木が懐かしいんでござんす。
もし、夜の森の桜か三春の桜の写真をお持ちだったら、ここに置いて行ってくれませんか。
もう二度と戻れないと分かっていても懐かしいんでござんす。
その写真を見てくれた人が、夜の森でも三春でも行ってくれれば嬉しいんでござんす。
どうか宜しくおねげえいたしやす。
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