透明人間 その1

2000/09 uni 


晩御飯を食べた後に、私達夫婦はうーにーを連れて、近くのスーパーへ
買い物へいった。店内は「ペット禁止」なので、私とうーにーは、スーパーの
前で待っていた。

スーパーには駐車場があるにも関わらず、入り口近くに路上駐車する
1台の車。その中から4人家族が出てきた。両親と小学校高学年と思わ
れる男の子2人だ。
店の入口に向かった彼らだが、一人の男の子が私達に近づいてきた。


私の方から「こんにちは」と声をかけたら、私のことを見るには見たが、
それだけで全く無視。そして、うーにーをいじくり始める。次にもう一人の
男の子が私のすぐ横に来てそれに加わる。その子は、勝手に「ポチ」
なんて名前を付けて呼んでいる。この子も私を完全に無視。

加減腹が立ってきて、どうしてくれようと思った頃に両親が来た。
お父さんが私の顔を見て何か感じたようなので、何か一言あることを
期待し、ちょっと待っていた。
うーにーにしてもれば、両親も加わって、4人もの人に可愛がってもらえる
ので、シッポをバタバタ振ってはしゃぎ始めた。そんなうーにーを見て、
母親が「シッポが当たって痛いわ。これってゴールデンっていうのよね。
こんなの駄目ね。もう1つのラブラドールとかいう方が良さそうね。」と
一言。お父さんは「そうだな」程度の答え。

犬を連れている人間の前で「こんなの駄目ね」。私は顔が引きつった。
お父さんは(たぶん理由は分かっていないと思うが)、奥さんや子供達を
店内に誘い始めた。彼らはうーにーに未練を感じながらも、店内に入って
いった。


最期まで私は無視されていた。無視というより、見えない透明人間
のようだった。