ロールパン強奪事件

2001/04  雲丹爺 より


珍しくちょっと忙しい日々を過ごしていた時のこと。
もちろん、うーにーの散歩も疎かになる。
でも、行かなくちゃ、というような時期のことである。

私とうーにーは、近所の喫茶店へ行った。
犬連れOKで有名な店で、犬を連れている人、連れていなくても
好きな人がよく来る店である。

うーにーを足元に伏せさせ、ぼーっとしていると、
若いお母さんと3歳くらいの子供が隣のテーブルに着いた。
犬は連れていない。
母子は買い物帰りらしい。子供の手には、買って来たばかりと
思われるロールパンが。それに興味を持ったうーにーが
近寄って行き、それがきっかけで犬の話をするようになった。

とりあえずうーにーを呼び寄せるが、すきを見て、
また行ってしまう。その度呼び寄せるのが面倒になり、
そのままにして話を続けた。
うーにーは子供の手の先、つまりロールパンに鼻先を近づけ、
とても興味を示している。とりあえず止めさせるが、私が話に
熱中すると、気が付けばロールパンとうーにーの鼻先は、
間近にあった。

うーにーは、食べたことのない食べ物を奪うようなことはしない犬だ。
しかし犬だ。一応、注意するが「きっと大丈夫だろう」と思っていた。
お母さんもこのままではマズイと思い、子供の手からロールパンを
取り上げた。


さらに私達は話を続けた。お母さんは結婚前に大きな犬を飼って
いたという。今も事情が許せば飼いたいが、子供も小さいし、その他の
事情もあり、今は無理だろうということだ。


うーにーがまた隣のテーブルに行っている。私は話を続けるが、
お母さんの口から話が途切れた。視線はうーにーの顔の辺りに。
うーにーの頭は、椅子の背もたれの陰になって私からは見えない。
きっと空いている椅子に顎を乗っけているのだろうと思った。
それをお母さんが見ているのだと、。

しかしそれは大きな間違えだった。
先ほどお母さんが取り上げたロール・パンがそこにあったのだ。
そして、お母さんから、うーにーがそれを食べてしまったことを伝えられた、、、、。


お母さんは、うーにーの悪行を許してくれたが、どんな時でも
安心は禁物。飼い主は、いつも犬をしっかり管理しましょう、という
当たり前のことを改めて肝に銘じた事件でした。
これからというもの、うーにーは、ロール・パンを見れば狙うことになるだろう。
気を付けなければならないことがまた1つ増えてしまった、、。