東北旅行記 1999
 

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●4月30日(7日目)

朝食もうーにー同席。だいたいいい子だったが、奥さんがお茶を持って来た時、うーにーがにじり寄って、奥さんが思わず身を引いてしまったという事があった。体が大きいとちょっとした動きで人を驚かせてしまうので充分に注意しなければ、と再確認した一件でした。

今日も晴れ。晴れが続いて嬉しい。昨日、こちらに着いた時、風の冷たさに驚いたが、今朝は奥さんが「今日は気温が上がりますよ。」と言っていたので期待できそうだ。(うーにーは困るかも知れないけど、、、)


今日の第一の目的地である、湖畔の遊歩道を目指して出発。山を一つ越えなければならないのだが、峠の駐車場に車を停めたら、そこから延びる遊歩道がある事が分かった。遊歩道の入り口は雪野原みたいだ。面白そうなのでここも行ってみることにした。
 
遊歩道を入っていくと、少し土の部分もあったがほとんどが雪野原。どこが道だか分からない。少しの足跡と赤や黄色のテープでかろうじて道と分かるくらいだ。遊歩道を歩くというより、雪の斜面を登っていくという感じである。時々、足跡もテープも見つからなくなって、焦ったことがあったくらいだ。
うーにーは走り回ったかと思うと、急に止まり匂いを嗅いでみたり、枝を見つけては齧ってみたり、いつも通りにはしゃいでいる。人間はといえば、足を滑らせないように、穴に落ちないように、ソロリ、ソロリと歩いていた。そんな人間達を見て、うーにーは優越感にひたっているようだが、遊びが過ぎてコースから外れることがあり、その度に置いてきぼりをくって情けない顔をして走って来ていた。

東京に住んでいるうーにーは、雪の上での写真は滅多に撮れるものではないので、いっぱい撮ってしまった。気がついたら40枚くらい撮っていた。どんな写真が撮れているか楽しみである。




うーにーには暑いようだ

車に戻って次の(というより、当初の)目的地である湖畔の遊歩道へ向けて出発。駐車場には釣りを楽しむと思われる人の車が多く、人が多いのかな、と思ったが、歩いてみると、ほとんど人に会うことはなかった。(雪野原の遊歩道に比べれば、大勢というのが正しいかも、。)

ここは雪野原の遊歩道とは別世界で、雪など全くなく、まるで初夏を思わせる陽気だ。雪野原では、誰もいなかったのでリードを放せたが、こちらはたまに人とすれ違うことがあるのでリードは放せない。
ちなみに、うーにーにリードを着けても着けなくても、うーにー本人はなんら変わった様子はない。はしゃぐ時に邪魔にならない程度だ。リードは周りの人の中に犬を怖がる人がいるかも知れないので着けている。特に東北は、東京に比べて怖がる人が多いような気がする。

吊り橋も慣れてしまった

ここですれ違う人の半数以上は中高年の方だ。最近、流行のようだが、この様な方達が犬を家族として向かえ、ハイキングのお供として連れて行けば楽しさが倍増すると思うのだが、そのような人を見掛けた記憶はない。

山を歩く人の中には、犬を一緒に連れて歩くことをよく思わない人がいるようだが、そう思われても仕方がない連れ方をしている人もいるようだ。ちなみに我が家は山に犬を連れていくが、一度としてクレームをつけられたことはない。(ほとんど人がいないような所ばかり選んでいるためだと思うが、、)


途中、吊り橋がある。以前は「うーにーがどんな反応するかな?」と面白がっていたが、この頃は落ち着いていて、普通の道となんら変わりなく歩いてくれる。成長を喜ぶべきなのだろうが、ちょっとつまらない。

これだけでも、とっても嬉しい!


この遊歩道は湖畔を歩き続けるコース。途中、一回だけうーにーを湖に入ることを許してあげた。入るといっても足をつける程度。それでもうーにーは大喜びだ。

日陰で一休み。マツボックリをガシガシ

それ以降、湖に入れそうな所を見つけては「ねえねえ、入ってもいい。」と言っているかのような媚びた視線をくれる。入れてやりたいのはヤマヤマなのだが、今泊まっているペンションではうーにーを充分に奇麗にしてあげられない。今日のところはこれで我慢してもらおう。(田沢湖のホテルなら、、、、)





この辺りは遊歩道が多い。次は渓谷沿いの遊歩道。全長が9kmあり、行き止まりになっている。つまり引き返してこなければならない。往復18Kmの道のりになる。今からこれを歩く時間はないので、今回は駐車場から渓谷に下るまでのところまでにした。
この遊歩道は、冬季は閉鎖し、最近開通したばかりなのか、道を整備していた。遊歩道マニア(?)としては、有難い限りである。

ここは入れそうにない、と肩を落とす

渓谷に下りると、雪解け水とここのところの雨のせいか凄い音をたてて流れていて怖かった。ここで水遊びをしようとは思えないところである。夏の雨の少ない時期なら水遊びにいいかもしれない、などと勝手に想像して、すぐに駐車場に戻ることにした。


こっちは大丈夫みたいですよ、と誘う

駐車場に戻る途中、どうにか一人で歩けるくらいの男の子を連れた家族がいた。この家族は、子供をビデオで撮るのに一生懸命になっている。なかなか微笑ましい光景だ。
私達が通りかかると、その子がうーにーに興味を持ったみたいだったので(まだ言葉が出ないので本当にそうなのか定かではない。)、立ち止まってうーにーを触らせることにした。
やっと一人で歩けるオムツをあてた子は興味津々という感じであるが、その子を支えているお父さんは恐々という感じである。子供がうーにーに触りそうになると引き離していた。子供を支える役がお母さんに替わったら、その子供はうーにーの頭というか顔に触ってきた。お母さん曰く「手が目に入っているんですけど、いいんですか〜?」。
この年頃の子供には、いつもこれをやられる。しかし、うーにーは逃げるでも、吠えるでも、威嚇するでもなく、子供に付き合う。せいぜい首をちょっと動かすくらいで、座ったまま動こうとはしない。
これを読んでいる方の中には、「いいんですか〜?」なんて言っている暇があったら、引き離すべきじゃないのか!、とお考えの方もいらっしゃると思うが、現場にいたら一緒に「いいのかな〜?」と言いたくなると思います。それくらい、痛そうに見えないのです。でも目にいいとは思えないので、子供が飽きてきたぐらいを見計らってうーにーを子供と引き離し、この場を後にすることにした。




今日もお昼を抜こうかと思ったが、いっぱい歩いたのでお腹が空いてきた。山道沿いのお土産やさんで味噌田楽などを食べて、お土産を買った。うーにーは車でお留守番。うーにーが不安にならないように、店内が見える位置に車を止めた。すると珍しく、ずーっと店内の私達を見ている。いつもならば寝て待っているのに。「なんで私を連れていってくれないの?」という抗議の視線にも見えた。それを見たお店の方は「なんだか人間みたいな目つきですね。」と言って下さった。(本人は自分が人間だと思っているかも知れない。)うーにーがこちらをみていることをいいことに(意地悪したわけではないが、)お店でゆっくりすることができた。

公園から猪苗代湖が一望できる



今日、最後の散歩は大きな公園。山の中腹にある、庭園のような公園である。ただただのんびり公園の中を歩く。この公園にはうーにーが大好きなマツボックリがいっぱい落ちている。どれを拾うか見ていたら、落ちたばかりのパリパリのしっかりしたものを拾ってガシガシ・バリバリ。美味しいのかな?、歯ごたえがたまらないのかな?

帰る前にすることといえば、

日も傾いてきたのでペンションに戻って一休み。うーにーはだいぶ疲れている様子だ。普段の日は一日の大半を寝て過ごしているのだから、起きている時間を考えただけでも、疲れて当然だと思う。



夕食の時間になったので食堂に下りる。今日は他にお客さんがいるので、うーにーは部屋で留守番。食堂から駐車場を見ると車が5,6台あり、食堂にもお客さんが次々に入ってきた。(もうG.W.が始まったから当然。)
私達の隣のテーブルに小型犬を連れて中年の夫婦がやってきた。このペンションは食事時は、部屋で待たせるのが基本のはずだ。犬を抱いている奥さんが、オーナーさんに、念を押すと言うより脅しをかけるようにも聞こえる口調で「連れてきても構わないわよね。」と迫ると、少し間があって、オーナーさんは(私達が部屋で待たせているということもあってか)ためらうように承諾した。
こういう飼い主がいる限り「犬を飼っている奴は我が侭だ、」と言われ続けるのだろうな、と嫌な気持ちになった。また、オーナーさんもしっかり言って欲しいと思ったが、もしかしたら小型犬はOKにしているかもしれない、などと頭の中で色々なことを考え、食事を味わうどころではなかった。
ちなみにこの飼い主さんは、犬用の食べ物も用意していたが、出てきたお皿のものも犬に与えていた。(自分の口で一度含み、塩気などを抜いてから与えていた。)「こういうことをやっている人ってまだまだ多いんだな。これでは当分犬は公の場には出ていけず、犬だけの場所に幽閉され続けるのだな、」とさらに嫌な思いをした。

もう一家族、食堂に犬を連れてきていた。この犬は食堂に入ると同時に吠え始めたが、2,3分でその声は止まった。「吠えるような犬を連れてこないでくれ。」と内心思ったが、帰り際、仕方がないな、と思うような光景を見た。その犬は飼い主さんが隠すかのように、押し込められるように膝の上に抱かれていた。飼い主さんはまだ食事中であり、それはそれは食事がしづらそうな体勢だった。まさか好き好んでこんな姿勢で食べているいるわけでないだろう。たぶん、留守番ができないので仕方なくこうしているのだろう。

隣のテーブルで食事をしていた家族もそうなのだろう。事情は理解できたが、犬の存在自体、嫌がる人がいる世の中にいることが分かっているのだろうか、と一種の葛藤のようなものを感じた。

留守番できない、吠え続ける、というのを、多くのマスコミは「しつけの問題」といっているが、それだけではない。個人的には「しつけ」でどうにもならない場合もあると考えている。
犬を家族として迎え、暮らすという考えが根づき始めてから日が浅い日本においては、根本的な問題に目を向ける余裕はないのだろうか。それに多くの人が気が付くまで、犬は、犬が許される場所のみに連れていける家族でしかなのであろう。
そのようなことを考えると、このような飼い主さんを受け入れてくれる宿泊施設は有難いものだ。このペンションのような心の広い所で飼い主さんも色々考えてもらえれば、飼い主さんの意識の全体的な向上に繋がれば、と期待をしている。


そして客室のある二階へと階段を上っていくと、部屋で待たせている犬達が鳴き始めた。鳴いていないのはうーにーだけではないだろうか。今まで、このようなことは経験したことがないのでビックリだ。
私達が利用してきた宿泊施設は、世間から「マナーに付いて厳しすぎる。」と言われているところか、他にお客さんがいない、もしくは、極めて少数であることがほとんどだったので、今日のこの状況には驚いた。
ちなみに「マナーに付いて厳しすぎる。」と口にする人達に「何が厳しかったですか?」と聞くと「吠えさせない」とか「部屋や廊下で暴れさせない」とか(私達にしてみれば)当然のことばかり。ですから私達にしてみれば、一度として厳しいとは感じだことはありません。
しかし、今体験しているこの状況が「平均的」だとしたら、確かに厳しいのかもしれない。もしそれが現実だとしたら残念なことである。犬にその程度のことをさせることは、飼い主にある程度の知識があれば、至難なことではないはずである。

一番に食事を済ませた私達は、犬の鳴き声であふれる二階で過ごさなければならなかった。しかし不思議なことに、食事から飼い主さん達が戻ってくると、犬達は静かになった。人間達が戻った他の部屋の中で、何が行われているか知る由もないが、部屋で待つことさえできれば、後は特に問題がない犬ばかりのようである。


最後に愚痴を一つ。
このペンションは犬連れには使いづらいところがある。水道が客室のある二階に全くないのだ。最近は各部屋に洗面が付いている所も増えているので、共同でもいいから二階に水道が欲しいと思った。


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