軽井沢旅行記 1998   


  雨のハイキング後、満足そうな、うーにー


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●6月9日(3日目)

今日も昨日と同じような朝。私は朝食の15分前くらいに起きた。女房とうーにーはすでに朝の散歩と排便を済ませている。


うーにーの食事を済ませ、人間も朝食を済ませる。
今日も山歩き。昨日、一昨日の山歩きは「遊歩道」だったが、今日は少し本物の「山歩き」っぽい所だ。
休業中のゴンドラの駅に車を止めて、スキー場の脇を少し登る。そこから脇にそれるように熊笹の山へと入って行く。天気は曇り。霧がでている。霧は濃くなったり、薄くなったり。濃い時は20m先も見えない。梅雨入りしているこの季節、道の状態は良くない。こんな季節のせいか、他に人の気配は全くない。駐車場にも私達以外の車はなかった。ちょっと心細くなる。こんな状態でうーにーのリードを持って歩くほど、私達は山歩きには慣れていないので、うーにーのリードを放した。
少し歩き笹薮が開けた所に出たら、「今日も元気〜!」と言いたそうに走り回る。見事なクイックターンは、アジリティーをやらせたいと思うほどだ。フレキシ育ちのうーにーの8m以内でのクイックターンを繰り返す姿はちょっと虚しい。こんなに広いのに、、。どれくらい続けるか見ていた。いつもよりもちょっと短めだ。元気そうに見えても旅行の疲れがあるようだ。

雨の山歩きに苦戦している人間達
を尻目に元気に動き回るうーにー

山道は水の道を作り、干上がった沢のような道が、人の歩く道に添うように続いている。所々水溜まりになっている。そんな所に落ちないよう慎重に進む。足取りが軽いのはうーにーだけだ。
「も〜、何やってんの、早く来なよ、」と言わんばかりに、私達が見えなくなりそうな所まで行っては、私達を待ったり、私達の足元に戻ってきたり。時には、笹薮に入ったり、とりつかれたように臭いを嗅いだり。


女房がへばり気味で「引き返そう、」と言い始めた。確かに足場は悪く、勾配も急だ。これがどこまでも続くと、帰り道は笑った膝でこの坂道を転げ落ちることになりそうだ。それでも自分達をだましだまし進んだ。ここで引き返したら、うーにーに示しがつかないからだ。

どこまでも続くように見えた幻想的な道

しかしきつい道は長くは続かず、すぐに楽な道になった。さらに進むと木で出来た整備された道に出た。街中を歩くような運動靴でここまで来た私達は平たい道がどんなに楽か、どんなに自分の足に慣れているかよく分かった。恥ずかしながら、私の足に口がついていたら、安堵のため息を吐いたであろう。
この道はどこまでも真っ直ぐ進むように見えた。霧が濃く20mくらい先までしか見えない。道の両側は熊笹の笹薮が広がっている。その中に低木が所々頭を突き出している。そしてレンゲツツジの花が所々色を添える。幻想的な風景だ。平日しかも梅雨時ということもあってか、人の気配は全くない。
どこまでも真っ直ぐ続くように見えた道だが、たぶん2、300mくらいしかなかったと思う。霧のお陰で随分と長く感じた。

木の道が終わり平坦な土の道になった。同じ平坦な道でも木の道の方が全然楽だ。こんなに違うものだとは思っていなかった。日常、アスファルトの道ばかり歩いて、自分の足が軟弱になったのを実感した。犬も同じだろうか、。うーにーの場合、週に一回くらいは、土、芝、砂利、等の所に連れて行っているので少しは慣れているとは思うが、元気過ぎる気がする。



ペンションのオーナーさんがこんな話をしていた。
「駐車場から玄関まで砂利道だったんだけど、砂利を嫌がる犬が多いので、タイルを置いて道を作ってあげた。」
うーにーの場合ブリーダーの勧めもあって、子犬の頃、積極的に砂利の上を歩かせた。時には入替えたばかりの尖った砂利の上を走らせた。少し丸みを帯びた程度の所ならフリスビーもさせた。当時は「真意は分からないが犬の成長に必要なことなんだろう」程度に受け止めていたが、色々な所へ行くようになり、そのありがたさを知った。



土の道に嫌気を感じている人間を尻目にルンルンのうーにー。でもすぐに木の道になった。人間達の足取りに元気がでてきたのが面白くなさそうなうーにーだ。木の道は2本に分かれていた。先に進んでいるうーにーは「こちらが良さそうですよ、」と私達に勧めるが如く、分岐点から3mほどだけ進んだ所で私達を見ている。人間達は元気が余っているうーにーに嫉妬して「いやいや、こちらにしますからね、」と別の道を進む。それでも「別に私はどちらでも先導いたしますよ、」というように私達を追い抜き先を歩く。しかしその道は、すぐに木の道が終わってしまい、その先は深い熊笹の薮になっている。道がどこだか分からない。霧が濃いので(冗談や例えではなく)遭難しそうなので引き返すことにした。

真中に見えるのがうーにー

するとうーにーは「私は全然大丈夫、」と言いたそうに、木の道の脇の原っぱに入りクイックターンで走り回り始めた。そのうちに疲れてやめるだろうと勝手にやらせていた。人に見られて気持ちが良いのかなかなかやめない。
ぼーっと見ていたら、勢いよく木の道に飛び乗りターンを決めようとしたようだが、足を踏み外し強打した。私は「あ〜、今まで歩いてきた道をこいつを担いで下りるなんて嫌だ!」と思ったのも一瞬。速度は落ちたものの走りを再開。「全然大丈夫!」と言いたいのだろう。
呆れた私達はうーにーに戻ることを告げると、うーにーは足元に戻ってきた。そして引き返し始めた。うーにーは「元気な私が先導しましょう。」と言いたげに足取りも軽く先に進む。

木の道が2本に分かれている所に先に着いたうーにーは私達の方をちょっと振り替えると「当然こちらも行きますよね、」と言うかのような視線を送り、一人先に別の道へと進んで行った。「あのお調子者は元気に行ってしまったけど、どうしよう。」と人間が話し合っていると、うーにーは戻って来て、私達から2mほど先に止まり「そんなにお帰りをお急ぎにならなくても、」というように、荒いが一定のリズムを刻んでいる息をしながら私達を誘うような視線で見つめてくれた。
木の道が続いているようなので、私達も「ではそうしましょうか、」と先導のうーにーに続く。しかし木の道はすぐに終わってしまった。その先は原っぱばかりでどこが道だか分からない。濃い霧のためこちらも遭難しそうだ。やはり引き返すことになった。

中央から少し下に見えるのがうーにーのお尻。
木の棒を拾っているところ。

少々の木の道の後、短い平坦な土の道。そしてすぐに一直線に伸びる木の道へ。楽チン楽チンと幻想的な風景を楽しみながら進む。木の道が終わり少し進むと、小さな橋がある。その下には沢が流れている。面白そうなので、ここでうーにーを遊ばせることにした。人間は入っていけないが、うーにーだけに沢登をさせて、それを眺めようと考えた。しかし、うーにーは「私は先導で、あなた達が来れないのなら行きませんよ。」という感じで、一人では奥へと行こうとしない。仕方がないので、木の棒を投げたら、それに向かって走っていった。(でも、すぐに戻ってきた。)


この先は、熊笹が両脇に茂った勾配の急な足場の悪い道だ。人間達は「転んだら嫌だな、」とか「水溜まりに落ちないように、」と慎重に進むが、うーにーといえば軽い足取りで進んでは立ち止まり「私はこれくらいのことではバテませんよ。こんな道でも全然平気。」と言っているかのように私達を振り返る。なんとも得意気な顔に見えてくる。

それで終わってくれればよいのだが、調子に乗り始めたうーにーは止まらない。立ち止まってこちらを見ていたかと思うと全力でこちらに走ってくる。人間は転ばないようにするのがやっとだ。人間がひるんでいると、急勾配の泥道でクイックターン走りを始めた。うーにーの体は笹についている露でグショグショになっていく。さらに悪いことに水の道が水溜まりになっている所だ。足場は非常に悪い。私は自分の足元が気になって仕方ない。うーにーの走りを鑑賞する余裕はない。注目されていないのが気に入らなかったのか「こんな所でも大丈夫ー!」と言いはしなかったが(多分、心で言っていたと思う)バシャバシャと水の溜まった水の道を全力疾走してくれた。私の目が点になった。
いい加減走り回った頃、女房がうーにーに声をかけて走るのを止めさせる。するとうーにーは「はいはい、やめましょう、」と走るのを止めて女房の足元に軽やかに戻り、そしてドロドロの濡れきった体でブルブルをした。女房は泥だらけ。まるでコメディー映画を見ているようだ。人間も膝から下は濡れていたが、汚れてはいなかった。それを一瞬にしてドロドロに。当のうーにーは足もお腹も真っ黒。「ペンションに戻る時どうしよう、」とため息を吐く人間達を尻目にまだまだ元気なうーにー。

うーにーは子犬の頃「HD(股関節形成不全)の疑いあり」といわれたことがあり、それ以降、足の運びには常に気をかけている。今までの疲れや、はしゃいで足を踏み外したりしているので、さらに今は下り坂だから、足腰の動きは良くないだろうと思ったのだが全く軽やか。
東京では、フリスビーやボール投げをするとすぐに「私は腰が弱いのよ。」と言っているかのように2,3回真剣にやった後、走るのを嫌がることが多い。今ここにいるうーにーは腰も丈夫そうだし体力も充分だ。何かがおかしい。ドリンク剤でも飲んでいるのだろうか。もしかして熊笹を食べてそのエキスで元気になっているか。う〜ん、、、、。

熊笹の道を抜けて原っぱに出ると、またクイックターン走りをしてくれる。ドロドロに汚れた足やお腹が奇麗になりそうなので、勝手に走らせておく。「真っ黒」だった部分は「薄汚い」程度になったが、体中ずぶ濡れである。そんな犬を連れて車を置いてある所へと向かう。

< この辺りでブルブルをして、
< ここで一度ゴロンとさせて
< 裏返して、最後にタオルでゴシゴシ

とりあえず車まで無事戻ってこれた。このままうーにーを車に乗せる訳にはいかないので、少しは拭いてあげた。元気にしているうーにーだが、疲れが溜まっていないはずがない。ペンションに戻って少し休ませてやりたいが、この状態ではそれも簡単には出来ない。
時計を見るとちょうど正午だったので、毎度の喫茶店に行くことにした。(迷惑かな?)

お店に着く頃には、うーにーの体もだいぶ乾いていた。それよりも驚いたのは、車の後部で寝ているうーにーを起こしてみると、顔に5,6匹のダニがついている。思わずため息。
お店に着くとまずお土産やさんへ。うーにーが店内を汚していないかと、見まわすと私の通った跡が汚れている。よく見ると靴の裏に付いた泥がボロボロ落ちている。店内を汚してしまったのは私だった。急いで店を出て、お店の前で泥を落としてみると、いっぱいでてきてお店の前を汚してしまった。(あ〜、ゴメンナサイ。)自分の足元を見ていたら、その横にいるうーにーが目に入った。またダニがいる。なんだか気が滅入ってしまう。

お土産を一通り見て二階の喫茶店へ。結局、1時頃から5時頃までのんびりさせてもらった。その間にも4匹のダニを見つけた。お店のお父さんに親指を使った潰し方を教わった。今までは生きたまま捨てていたか、洗剤などで動かなくしてから流すかだったので「またくっつくのでは、」と心配だった。
潰し方は、ダニに水などをちょっと付けてから親指の爪の中央に置く。水を付けるのは動きづらくするためだ。そこにもう1本の親指を垂直に立てるようにして潰すというもの。ダニは潰れそうで潰れないものだが、この方法だと(ちょっとコツがあるが慣れれば)確かに潰せる。
お兄さんからは、食いついたダニの取り方を教わったが、こちらは実地で教わらなかったため、後で自分でやってみたら出来なかった。(頭が残ってしまった。)

今日もジャーキーと引き換えに多くの芸を披露した。本日、初公開は2つ。一つは、鼻の上にのせたオヤツを上手く落としてパクっと食べる、というもの。これは以前来た時、お父さんが「やらせてみたら」といったことから始めてみたものだ。(この芸は完成度がまだまだ低い。)もう一つは、手を鉄砲の形にして「バーン」というとうーにーがゴロンと倒れて、続いて「1,2,3、ハイ」と声をかけると元気に起き上がるもの。その他の芸も含めて、お父さんの指示で色々やった。でも疲れがあるようで集中力は長続きしなかった。

お店から帰る頃、うーにーの体の汚れはほとんど落ちたようだ。体が乾くと汚れはだいたい落ちる(ように見えるだけかも、)。「これでペンションに帰れる、」とペンションに向かう。ペンションに帰ると足をいつもよりも入念に洗った。足を洗っていても疲れているのが感じられる。部屋に戻ってもほとんど動かない。私達が二人で部屋を出ていっても知らんふり。やはり疲れているのだ。

夜、雨が降ってきた。先週、梅雨入り宣言しているので雨が降って当然の季節。今日まで降らなかったのはありがたかった。ちなみに、明日は東京に帰るだけ。


夜の食事の時にペンションのオーナーさんからこんな話聞きました。
「近所のペンションのオーナーさんに、犬を泊めると部屋を汚されたり、家具をかじられたり、しませんか。とよく言われることがあるのですが、人間の子供による被害の方が大きいです。」
人間の子供のマナー(躾)が向上して欲しいのは当然だが、現場の人がこのように感じるくらい、犬を飼っている人のマナー(躾)が向上してきているのは、とても嬉しいことである。
ヨーロッパなどで「犬はOK、子供はNG」の場所があると聞いたことがあります。少しはそれに近づいてきたのかな?

具体的なお話を聞いた限りでは、子供の場合、親が目を離している間に問題を起こしてしまうのに対し、犬の場合は、飼い主が目を離さないので問題を起こさずにいられるようです。
マナーが向上して欲しいのは、子供や犬ではなく、その親や飼い主であるという当然のことを再認識したお話でした。


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