北陸旅行記 1996

6月7日(帰り道)

うーにーのページに戻る   次の日へ

色々お世話になった喫茶店にお別れする日が来た。うーにーと家内はいつもの様に朝早くから(特に早い訳でもないのだが私は寝ているのでそういうことにして欲しい)何やらやっていた。私が起きると「うーにーがまた布を吐いた。」と報告してくれた。どうも雑巾か小さなタオルだと思うが思い当たるものはない。充分に目を光らせているつもりだが人目を盗んで何かしらやっているようだ。正直なところキツネにつままれた様な気持ちだ。まだまだ飼い主修行が足りないようである。
今朝も当たり前のように朝食を頂く。マスターともゆっくり話しをする時間もなくお別れとなってしまった。一度は人間恐怖症になったうーにーもマスターとの別れを惜しんでいた。荷物を車に運び込んでいる時、ふと本棚に目をやると犬の本が何冊か置いてあった。さらにマスターの枕元にも犬の本。私達が遊びに来ることになってから読んでくれたようだ。
開店の準備もあるので挨拶も簡単にお世話になった喫茶店を後にした。
新湊に押し寿司の美味しい店があると聞いていたので、そこでお寿司を買ってから富山を後にすることにした。

喫茶店を出発したのが10時。今日も暑い。新湊に行ってから富山に戻り41号を南下する。往路でも寄った道の駅に寄る。うーにーを連れてアイスクリーム(お米入り)を食べていたら観光バスが入ってきた。何組かの家族連れが降りてきて私達の前を通り過ぎた。大人達は無関心(を装っているのかも?)の人がほとんどだが、子供の反応は面白い。東京近辺よりもはっきりしている。怖がる子、寄ってくる子、「大丈夫?」と聞いてくる子、興味はあるけど近寄れない子、色々である。往路で寄った時と同様、犬を連れている人は見当たらなかった。北陸に入ってからは犬連れ旅行と思われる人を見た覚えがない。こちらでは「犬連れで出掛ける」ことは一般的ではないようだ。
ひたすら41号を走り471号へ入る。すこし走ると初日に通った憶えのある道まで来た。それが終わると山道へと入っていく。忘れられない熊牧場の看板が目に入った。「随分帰ってきたんな〜。」と思いながらさらに車を走らせ安房峠へと進む。
往路で一休みした渓流の所で昼ご飯にすることにした。昼ご飯は押し寿司。出発した日には日陰に残っていた雪ももうほとんどない。うーにーが走り回った所は熊笹の笹薮になっていた。まわりは岩がゴロゴロしている所なのでうーにーが走り回れる所はない。渓流も流れが速く危なそうだ。うーにーには我慢してもらうしかなかった。
往路で安房峠に入る前に遊べそうな川辺があったのを思い出し、あそこでうーにーに川遊びをさせてやろう、と2人で話し合った。昼ご飯を半分残してそこで食べることに。

峠も九十九折りになってきた。富山の人達が「安房を通るには昼はさけろ」という言葉がよく分かった。道が混んでいる。渋滞だ。日が高いうちに川遊びをさせたかったのでイライラしてしまう。どこまでこの渋滞が続くのだろう。と思っていたら九十九折りが終わったら渋滞も終わった。急なカーブを曲がるのに苦労するバスなどが渋滞の原因になっているようだ。

一安心した私達は川遊びの出来そうな場所を探す。よく見ると工事中の川辺が多い。川に下りる道があっても「関係車両以外立入り禁止」の看板が立っている。ここもダメ、ここもダメ、と繰り返しているうちに道が川から離れてしまった。「あ〜あ、川遊びは出来ないか、千里浜でも、曽々木でも海に入らなかったから、せめて川遊びくらいはさせてやりたかったのに、、、」とうーにーに申し訳ない気になってきた。今回の旅行はうーにーにはだいぶ我慢をしてもらった。そんな気持ちがあるのでどうしても川遊びをさせてあげたかった。それに私はお腹が空いて仕方がない。
はるか眼下に川が見える。「いくらなんでもここを下りれはしないな〜」と思いつつ運転していると、道はどんどん下っていく。かすかな期待を胸に車を進める。すると初日に昼食をとったドライブインがあった。「あ〜、終わりだ。」と溜め息を吐いた。私の記憶ではここは街のはずれと記憶していたからだ。
しかしその記憶は間違っていた。ここを過ぎた所で眼下に吊り橋を見つけた。その100mくらい下流に遊べそうな所が見える。道が少ない山の中だから必ずそこへ行けると確信した。とにかく吊り橋方面の脇道に入る。
脇道に入ると目の前(と言っても急な下り坂の下の方)に吊り橋が見える。思わず拍子抜けしてしまった。しかも駐車場まである。そこに車を止めて河原へと急ぐ。今まで遊ぶ所を見付けられなかったことを幸運に思えた。川の流れはゆるく、岩陰、木陰がいっぱいある。まるで「ここは犬の川遊び場ですよ」というような場所だ。あえてクレームを付けろと言うのなら自然がそのままなので所々で虫が湧いていたりする。それと自然のものを含めゴミが落ちているがそんなに多くない。ただこの時50mくらい離れた対岸の上流で釣り始めた人がいた。私は釣りのことはよく分からないので「これだけ離れたいれば問題無いだろう」とあまり気にしないことにした。
川遊びもさせてやりたかったが、私のお腹も空いていた。うーにーには少し待ってもらって押し寿司を急いで食べた。さすがに美味い。一気に食べてしまった。深呼吸をして周りを見渡し(この時はまだ釣りの人はいたが)うーにーの川遊び開始だ。うーにーにロングリードを付けて遊ばせる。初めのうちは川辺でバチャバチャ遊んでいたが、木の枝を投げてやると少しためらいがちに泳ぎはじめた。泳いでみたら気持ちが良かったらしい。枝を投げろと催促したり、自分で勝手に目標を定めて泳いだり、それはそれは気持ち良さそうを通り越して必死に見えるほどだ。


 木を取った瞬間、喜んだついでに、
 溺れそうになる。

釣り人は対岸の上流で場所を何ヶ所か変えた後、諦めてさらに上流へと消えていった。迷惑だったのだろうか。釣りの人がいなくなってからは何一つ気兼ねせずに、さらにやりたい放題。あっちでバチャバチャ、こっちでバチャバチャ。川をかき回すかの様に泳ぎ回る。川の所々で川底の砂が舞い、川の色が変る。突然川から上がって来ては人の前でブルブル。そしてまた川へと向かう。やりたい放題だ。


この場所を見付けることが出来たのが3時頃だった。3、40分遊んで、うーにーを乾かして気が付くともう4時。日が傾きはじめている。今夜の寝床である小淵沢のブリーダー宅に急いで向かう。
山道から街中へ進むにつれて道が混みはじめる。今日は金曜日(平日)。東京でも道の混む時間だ。今まで山道を走って来たからか、渋滞の平坦な道ではうーにーは時々落着かない素振りをみせる。しかし疲れているのだろう。車内を確認するとすぐに寝てしまう。
松本から高速にのる。これもまた渋滞だ。しかしそんなに長い距離でもないのでのんびりと走ることにした。うーにーはすっかり寝ている。車が少しでも動いていれば寝ることにしているようだ。


ブリーダー宅に6時に着いた。居間にはいつも7、8頭の犬がいる。つまらない移動の後の屋内ノーリード集会はさぞかし楽しいだろう、と思ったのだがうーにーは落ち着いている。特別疲れているようでもないが妙に落ち着いている。いつもなら軽い運動会状態(といっても家の中だから大した事はない)になるのだが、今日はお行儀が良い。旅をすると変るのかな? それともやっぱり疲れているのかな?


うーにーのページに戻る   次の日へ