北陸旅行記 1996

6月3日(下:帰り道〜トラウマ対策)

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日も傾きはじめたし充分に遊んだので宿にしている喫茶店へと帰ることにした。旅行前に「犬連れ旅行だけど人間も楽しまなくっちゃ。うーにーを待たせて水族館を見よう。」と思ったのだが、結局芝生の広場で昼寝をして、うーにーと遊び、童心に返って遊具で遊んだことの方が楽しい思い出として記憶に強く残っている。もしうーにーがいなかったら水族館だけで終わっていただろう。犬を連れて行動する時、何か忘れていたもの、見落としていたものを発見出来る時がある。そんなことを感じた能登島行きでした。


帰りの車中で家内が「あの人に会いたくないな〜」と突然言い出す。あの人とは昨日一緒に砂田さんの所へ行き、焼き肉パーティーにも参加したメンバーの中の一人だ。数少ない女性であったからか家内とは長い時間話しをしていた。私は話しがはずんでいたのかと思ったらそうでもないらしい。この人が6才になる雌のゴールデンを飼っているいることは私も聞いていた。このゴールデンの飼い主さんは「一度で良いから家の犬に子供を産まさせてやりたい。」としきりに言っていたらしい。年齢から考えて最後のチャンスと考えているらしいが、その犬には健康上の問題がある事も話していたそうだ。しかも悪化させれば生死に関わりかねない疾患だが、それでも「子供を産ませてやりたい。」と言うのだそうだ。でも犬は「子供を産みたい」なんて考えないと思う。私もそんなことを熱弁する飼い主とは「会いたくないな〜」と考えながら運転していた。

ここでちょっと脇道。犬といえば野生動物ではなく家畜である。家畜の定義は色々表現の仕方があるようだが簡単にいえば「その生活を人間が管理する(手の内にある)動物」である。それは繁殖行為もである。家畜の繁殖行為は人間が必要性を認めた時のみ行われるのが正しい。すなわち人間がその動物の子供が必要と考えた時にのみ行われるべきなのだ。出産や生殖行為そのものに目的を求める繁殖は私は理解出来ない。
もしうーにーの子供がなんらかの理由で必要であると求められても私は拒否する。産後のうーにーを見たくないからだ。もし私が日当たりの良い広い庭を持ち、充分に世話をするだけの時間があれば少しは考える余地があるかもあれない。しかし実状は東京の庭も無いような家で暮らし、日中は誰もいないことも多い。こんな生活では産後のうーにーの体がどんなになってしまうか想像にたやすい。
犬と人間の関係の歴史がどうあったのか、そしてこれからどうあるべきか、また伴侶動物(コンパニオン・アニマル)の意味を今一度考えて欲しいと私は願う。

6時半頃喫茶店に着いた。車を店内から見える所(昨日パーティーの時に止めた位置)に止めた。その中にうーにーを入れたままにして喫茶店でお客さんをすることにした。繁殖させたい飼い主さんが来たら嫌だなと思っていたら、うーにーを人間恐怖症にした犯人がやってきた。とりあえず店の中で私達と話しをするだけでうーにーには近寄らなかった。
少し話しをしたころ喫茶店に電話が入る。マスターがうーにーの事を宣伝したらしく「うーにーを見たい」という電話だった。10分もしないうちにお母さんが幼稚園くらいの女の子を連れてやってきた。うーにーを車から出して女の子と遊ばせる。さすがに子供は恐くないらしくはしゃいでいた。その時犯人は出てきた。うーにーは犯人を確認した途端クルリと向きを変え逃げようとした。しかしリードが着いているので逃げられない。しきりに臭いを嗅いで自分を落ち着かせようとしているようだが尾はしっかりと股間に挟まっている。再犯を犯さないように家内が注意の目を光らせ、今リハビリをやらなければと彼に乾燥ジャーキーを渡しうーにーにあげるように指示するが、うーにーは食べようとしない。それを子供に渡すと犯人を横目で見ながら子供の手からそのジャーキーを口にした。仕方がないので嗜好性の強いオヤツに変えて試してみる。
今度は犯人の手から口にしたがオヤツを奪うとすぐに逃げた。これを何度も繰り返してもらった。少しずつだが尾の力が抜けていくのがわかった。犯人もそれが嬉しいらしく快く協力してくれた。そして尾は振りはしないが中に入らないようになった。うーにーにとって「オヤツを次々にくれる人」になったらしい。とりあえず逃げるが以前ほど怖がっていないのが見てわかる。頃合いを見計らって彼にピーピー鳴るオモチャを持たせて遊んでもらったらうーにーは尾を振って彼と遊んだ。メデタシ、メデタシ。

店があがってからマスターが富山市内を案内してくれることになった。うーにーは晩ご飯の時間だったので、食後の休憩でケージの中で寝ててもらうことにした。2時間ほどで私達は帰ってきたがうーにーは静かにしていたようだ。疲れて寝ていたようだ。周りに私達の荷物があるので安心出来たのかも知れない。


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