(抑留)
第六条 予防員は、第四条に規定する登録を受けず、若しくは鑑札を着けず、又は前条に規定する予防注射を受けず、若しくは注射済票を着けていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならない
2 予防員は、前項の抑留を行うため、あらかじめ、都道府県知事が指定した捕獲人を使用して、その犬を捕獲することができる。
3 前項の捕獲人が犬の捕獲に従事するときは、第三条第二項の規定を準用する。
4 予防員は、第一項の規定により犬を抑留したときは、所有者の知れているものについてはその所有者にこれを引き取るべき旨を通知し、所有者の知れていないものについてはその犬を抑留した場所を管轄する市町村長にその旨を通知しなければならない。
5 市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、その旨を二日間公示しなければならない。
6 第四項の通知を受け取つた後又は前項の公示期間満了の後三日以内に所有者がその犬を引き取らないときは予防員は、これを処分することができる
7 前項の場合において、都道府県は、その処分によつて損害を受けた所有者に通常生ずべき損害を補償する

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引用元は以下(これを私が手入力しました、なので間違っているかも)
狂犬病予防法・御署名原本・昭和二十五年・法律第二四七号




(ポイント)
・抑留の条件
・抑留から処分ができるようになるまで
・補償

※「若しくは」や「又は」についてはこちら

・この条文の前身は、家畜伝染病予防法(大正十一年四月八日)第二十九号(戦前の法律)の第十七条。




 抑留の条件 ~ 「鑑札」と「注射済票」

抑留の条件は
--
 登録を受けず、若しくは鑑札を着けず、
  又は
 前条に規定する予防注射を受けず、若しくは注射済票を着けていない犬。
--
と書かれています。

狂犬病予防法というと「鑑札」ばかり頭に浮かぶ人もいるかと思いますが、この注射済票が大事。
予防注射をしている犬なら「狂犬病であることは考えられません」と言えます。
なければ、もし咬傷事故を起こせば、狂犬病の疑いをもって対応させられるのです。


 今の法律との違い ~ 捕獲時

現在の法律は、捕獲にあたり他人の土地、建物、船舶などに犬が入って行った時はそこに立入ることが出来る旨が書かれている。

犬を隠す人、匿う(かくまう)人が多かったのかなと考えてしまいました。


 今の法律との違い ~ 公示期間満了の後

ここに示した昭和25年の法律では、
 予防員が抑留
 所有者不明な場合は市町村長に通知
 それを受け取った市町村長は二日間公示
 公示期間満了後三日を過ぎたら処分することができる

今の法律は最後の一行の部分が違います。
  三日ではなく一日。


所有者が現れなかった時の処理ですが、市町村長に通知したら公示が二日、その後三日で(現在は一日で)処分できることになる。(まず所有者を探すのに数日は要すると思います。その後の話です。)
ちょっと早すぎるのではないかと思いますが、法律上はこの日にちで行うことができるのであって、実務は違うところがほとんどだと思います。
また、処分というと「殺処分」を想像する人がいらっしゃいますが「譲渡処分」など他の形もあります。


これは狂犬病予防法による所有者不明犬の処理の定めですが、遺失物法とでは異なります。
ネットで検索したら、以下の記述が分かり易いとおもいます。
(3)拾得物が犬や猫であった場合の注意点
(リーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィス)


昭和25年のことではなく、現在のことを考えた場合、以下の記事を読んでいただければ、この条文の存在について、改めて考える機会になると思います。

この辺りのことで有名な事件として以下のものがあります。
放置された犬を保護して飼育 3カ月後に返還要求、裁判に発展
(Sippo)
そして悲しい結末が(狂犬病予防法ではなく遺失物法の話ですが)
排泄の失敗を片付けていたその時…
置き去り犬めぐちゃん「強制執行」~「動物はモノ」という悲しい現実
FRaU

狂犬病予防法にて処理していれば、通知~公示~満了後の期間が経過した後、都道府県が引き取ることになります。その後、保護した人に託すかはその都道府県の考えとなりますが、今であれば今回の様なケースは保護した方にお願いすることになるのではないでしょうか。


 今の法律と同じ ~  損害を補償

7 前項の場合において、都道府県は、その処分によつて損害を受けた所有者に通常生ずべき損害を補償する。

日本国内で狂犬病の感染があった時代は、出来るだけ迅速に行動しなければならないケースもあったので、この様な規定があったのだと思います。

現在でも色々なケースを考えれば「損害」が発生することも考えられますが、具体的にどの程度の補償なのか考えてしまいます。

そのようなことにならないように、迷子にしない、また、狂犬病予防法に従い登録をして鑑札を着け、予防注射をうって注射済票を着けていただきたいものです。




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2023.8.262023.8.26
2023.8.26 公開
#法律 #狂犬病 #狂犬病予防法 #1950 #抑留 #遺失物法