犬と暮らせる人、暮らせない人

2002/5  「人のため、犬のため」掲示板 より


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散歩中、見知らぬお婆さんが、うーにーのことをことを可愛がって
くださった。犬が大好きだという。
「犬を飼っているのですか?」と聞くとしばしの沈黙。そして、
思い立ったように話してくれました。

お婆さんはお爺さんと一緒に、二頭の犬と暮らしていたそうです。
二人には人間の子供はいらっしゃらない。きっとその二頭をことの
ほか、可愛がっていたと思います。

しかし、お爺さんは、病に倒れてしまいました。
入院し、再び犬達の待つ一軒家の自宅には戻ることはなかった
そうです。その後もお婆さんは、犬達と暮らしていたのですが、
大家さんの都合でお婆さんの住む家は、人出に渡ってしまい、
お婆さんは立ち退かなくてはならなくなりました。
それまでの家賃は、それほど高いものではなかったようです。
長年暮らしたその家から立ち退くことになったお婆さんには、別の
一軒家を借りることは出来なかったそうです。

お婆さんは犬達のことを考えました。次はアパート暮らし。この子達を
連れていくわけにはいかない。悩んだことだと思います。

そして、その犬を譲ってくださった方に連絡をしたそうです。同じ
東京の方だそうですが、近所でもなければ、親しいお付き合いを
している仲でもなかったようです。きっと藁をもすがる思いだったの
でしょう。とにかく連絡してみたのです。そうしたら、事情を理解して
いただけて、すんなりとその二頭を引きとってくださったのだそうです。

どのような人間関係であっても、このような事情を理解し、引きとって
くださる人が増えて嬉しく思う反面、どこか寂しそうにうーにーを撫でて
くださるお婆さんを見ていると、共同住宅では、犬や猫を飼えないのが
当たり前の世の中を変えられないものかと想うばかりです。