作業机の思いで

2000/8    きつね洞さんより


国内 海外 お絵描き


かなり昔のことですが、いい作業机が欲しくて、家具屋に行きました。
「そんな大きなのは置いてないけれど、注文できます。」と言われ、
カタログで選ぼう、としていたら、大きな犬が駆け込んで来ました。
グレートデンの少年…青年間近?
手足はまだ大きめに見えますが、耳は切ってあります。
駆け込んで来るなり、私に興味を示したので、
家具屋の夫妻があわてて、捕まえました。
「ごめんなさい!散歩の後なので、ちょっと放していて。」
「いえ、全然かまわないです。好きなので。」
と言いましたが、グレートデンは叱られて、
脇のほうに伏せる姿勢になりました。
で、また机選びを再開したのですが…彼の視線が気になるのです。
ずっと「駄目ですか?」と私を見ています。
なんだか相性が良かったのでしょうね。
何回めかに目を合わせた時に、ほとんど衝動的に、
自分のももを叩いていました。「おいでよ。」
すると、即座に彼は立って私の脚に頭を乗せてくれました。
私は、当たり前の顔でなで始めました。
驚いたのは、家具屋の夫婦で、
「こんなのは初めてです。」と、なぜか机を値引きしてくれました。
その作業机はまだ活躍しています。