軽井沢旅行記 1997

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●9月18日、最終日。

台風も行ってしまったので、今日こそ(晴れなくてもいいから)雨があがって欲しいと思いながら目をさました。しかし、外を見れば今日も雨。

この部屋も今日でお返ししなければならない。朝食を済ませたら、荷物をまとめ部屋のお掃除だ。掃除をしてみると思ったより毛が落ちていない。部屋の中は寝ているだけだったからだろうか。せっかく用意をしてきたのだから、と、廊下や階段もちょっとだけ掃除をしてみた。自分の家と同じで、階段には毛が結構落ちていた。建物の造りからして、いかにも階段に毛が集まりそうだ。しかし昨日のお泊り犬は、うーにーとシェパードちゃんだけ。それでこれだけ毛が落ちるとなると掃除は大変だろう。出発際、オーナー夫婦が「うーにーちゃんは抜け毛もよだれも少ない方ですよ。ゴールデンにしては。」と言って下さった。それでは、ゴールデンが何頭もお泊りしている時はどうなってしまうのだろう。
雨の中の出発。今日はペンションに帰るのではないからドロドロになっても良いと思い雨の中で遊ぶことにした。(最後までヤケクソ旅行だ。)

まずは一昨日行った沢を横に見ながら歩く林の中の道へ。
ちょっとした山歩。うーにーは植物が大好。お花やさんの前を通るとやたらと観察して危ない。見た目と臭いだけの観察にとどまらず味の観察を始めそうだからだ。野原で草を食べることを許しているので仕方が無い。最近は除草剤の問題もあるので止めさせた方が良いのかも知れないが、フードしか与えていないので生草も必要かと考え止めさせていない。そんなうーにーにとってここは天国のようだ。気になる草の臭いを嗅いでみる。何やら考え込んでいるようだ。 そして気に入れば味の観察を始める。ある時は恐る恐る、ある時は何気なく。そして次の草の観察を始める。時には食べないものもある。あっちで観察、こっちで観察、とにかく楽しそうだ。キノコは恐いので、食べないように気を付けて見ているのだが食べるどころか臭いを嗅ぐこともほとんど無い。魅力的ではないようだ。

ここにはうーにーの大好きな栗イガがいっぱいある。どれにすれば良いのか迷っているようだ。一つしかない時は狂ったように遊ぶのに、いっぱいあると悩んでしまうようである。いつもは感触を楽しんでいるようだが、今日は観察している。これで栗イガを見る目が養えただろう。

口に見えるのは栗イガ。
痛くないのだろうか。

観察といえば一昨日のことである。連日通っている喫茶店でミントが添えてあった。葉だけでなく花もついていた。うーにーが喜ぶと思って口で観察させてあげたら珍しく出した。珍しいこともあるものだと思い、私は自分の口で観察してみた。やっぱりミント。しっかりミントの味がした。どうも納得いかない。この程度の味で出すはずがない。今度は葉だけ食べさせてみた。これは食べた。ということは花が不味いのか? これも自分で食べてみた。確かに花の方がミントらしさがしっかりしている。これを食べさせたら出した。うーむ、こうやって植物は自分を守っているのだなと納得。(花を守れば種が残るから。)

うーにーはゴールデン。拾い食いの天才である。躾の本などに書いてある罠を仕組んでも引っかからない。今までやったことがなかった罠が食べ物の中に不味いものを入れる方法だ。タバスコやからしを使うように書いてあるが体に悪そうなのでやっていない。
このミントの花なら大丈夫と考え付いた。そこでオヤツとして持ち歩いてるサツマイモを練り、その中に残っていたミントの花を入れてうーにーに食べさせてみた。(当然出すものだと予想して。)しかし結果は「ゴックン」。中に入っているものの味など味わう余裕などないようだ。それじゃうーにーが卑しいみたいなのでこう考えよう。犬には咀嚼用の歯はない。飲み込める大きさにちぎって、飲み込むのが犬。はじめから飲み込める大きさの食べ物なら飲み込むように食べて当然。だとすると、もっともっと大きなサツマイモに練り込み、ちぎらなければ食べられないような大きさにすれば結果は違ったかもしれない。(でも、そんなことしたくない、、。)

雨の中うーにーは観察を続けたそうだったが、人間が飽きてきたので次の場所に移ることにした。今日も車に乗るのを嫌がった。そういえば今朝もだ。ペンションを出るために荷物を車に乗せて、それからうーにーを部屋から連れ出そうとしたら嫌がった。どうにか車に連れていっても今度は車に乗るのを嫌がった。雨降る中でだ。
今年の6月に伊豆へ旅行した時もそうだった。この時もペンションを後にする時、嫌がって車に乗ろうとしなかった。ペンションから何処かへ遊びに行く時は喜んで乗るのに、帰る時は分かるようである。うーにーの気持ちも分かるが、そんな身勝手なことばかり言っていられないのだとうーにーを説得し、車に乗っていただいた。

次の場所は、不思議なくらいきれいな、そして広い芝生の場所。ここに来るといつもフリスビーをする。今日はうーにーもお疲れのようでノリが悪い。フリスビーはそこそこにして勝手に遊ばせておいた。お気に入りは大きな木の枝。運ぶもよし、ガシガシかじるもよし。うーにーはご満悦。

この場所でやろうとしていたことがもう一つある。それは緊急時の呼びの練習。家内は1年くらい前からペンションで買った笛を呼びの道具に使って練習をしている。しかしこれくらい広い所で練習する機会はほとんどないので、このような場所に来た時は出来るだけ練習するようにしている。ここは林に囲まれた広い芝生。その一端で私とうーにーが遊んでいて、家内が反対の端の向こうの林の中で笛を吹く、という単純なものだ。
うーにーはあまり目が良くないので家内が広場の反対側へ行ってしまうと分からない様だ。家内が移動し始めたら、うーにーは何が起きるのか分かっているようで、どこへ行くか目で追っている。ある程度離れてしまうと私と遊ばずに家内を目で懸命に追っている。今にも走り出しそうだ。それでは困るので私はうーにーを抑えたり、目隠ししたりしていた。
家内が林の中に隠れたので「そろそろかな」、と思っていたがなかなか吹かない。そんな家内を待ちきれなくなったのか突然うーにーが走り出した。それを一声で制した。うーにーは私の方を見て何やら訴えたいようだ。そんなことがあった時、ちょうど笛の音がした。うーにーは私の顔など見ずに家内が隠れている林に一直線、、、と思ったら、近くまで行って何故か右の方へそれてしまった。(風向きの関係だろうか。うーにーは目は悪いが鼻はとてもよい。)それを見た家内が声で呼んだら軌道修正して家内を見つけることができた。
うーにーと家内が芝生の広場を横切って私の所へ戻ってきた。家内曰く「この笛は鳴りが悪い」と軽く笛に息をいれた。(いつも使っている笛は昨年ペンションで買ったもので、今使っているものは同じ物をまたペンションで買った。手作りのものなので、ものによって鳴り方が違うようだ。)確かに笛の音には聞こえない。ちょっと大きな息の音のようだ。と、その時うーにーが反応した。もしやと思い「さっき、笛を鳴らす前にそれくらいの息で吹かなかった?」と聞くと「うん」と返事が返ってきた。うーにーは待ちきれずに走り出してしまったのではなく、この人間には聞こえない音に反応して走り出したのだ。それを制してしまった私に対して、うーにーは「なんで!」の目で抗議をしたのだろう。しかし私の耳では、あの音を聞き取ることは不可能なので(普通の人間の耳のなら聞こえないのが当然だと思う)勘弁して欲しい。(>うーにー)

雨の中そんなことをしていたので犬も人間もだいぶ濡れてしまった。そろそろ帰ろうと、芝生の広場から車の置いてある所に向かい移動開始。まだ雨が降っていたので、その途中にある東屋で一休み。この東屋の床は土。その土がとても乾燥していて細かい埃のようだ。雨に濡れてたのが嫌なのか、うーにーはそこでゴロンゴロンと転がり始めた。だいぶ汚くなった。別な言い方をすれば黒くなった。雨続きの旅行でヤケクソの連続であったが今日は家に帰るということもあってヤケクソも最高潮。真っ黒になってしまったうーにーの目の前には小川がある。しかも子供が遊べるようにしてある所だ。ソレっとばかり川へ入ることを許す。すると待ってましたといわんばかりに川へ下りていき、狂ったように走り出しました。どこにこんな元気が残っていたのか不思議なくらい元気に走り回った。
うーにーが少し飽きてきた頃に呼び寄せる。少しは汚れが落ちたものの上がってすぐに汚れ始める。車にたどり着いた時ははね上げで汚れたお腹はほとんど真っ黒。少々拭いたところで「焼け石に水」状態。「あーあっ、」とため息をついて空を眺めたら、空が晴れてきた。私の行いはそんなに悪いのだろうかと考えたが、心当たりが無かったので家内に「お前か?」と聞いたが心当たりはなさそう。結局多数決で行いが悪いのは、うーにーだということに決まり。泥んこの姿はそう言われるのにふさわしい。その泥んこを落していたら何時間かかるか分からないので、そのまま車に乗せて帰路につくことにした。

そのまま高速にのり東京に向けて車を走らせた。走り始めると所々雨が降っている。「そうそう、あの時の晴れ間は一瞬だけだったに違いない。」と自分達を慰めながら、「行いの悪いうーにーがいる限り雨は降るはず。」と訳の分からぬ言い訳をしながら、この旅行の最後のドライブは続いた。

自宅に着くと雨は強く降っていた。「やっぱり、泥んこうーにーが悪いんだ。」と理不尽なことを言いながら車を止る。
最初に降ろす荷物はうーにー。うーにーは荷台に乗っているので、運転中はほとんど見えない。うーにーが顔を出さない限り、うーにーを見ることはほとんどない。軽井沢で泥んこになったうーにーを家内が降ろそうとしてびっくりしている。何事かと思うと、うーにーは泥んこではなく奇麗になっているのだ。家に帰るということが分かっていて車の中で汚れを落していたのか? 多少の汚れならいざ知らず泥んこ状態が何故ここまで奇麗になるのか不思議でたまらなかった。もしかしたら、うーにーは着替えを持っているのかも知れない。私達が見てない時にさっと毛皮を着替えたのかも? その着替えは何処から出てきたかって? そして脱いだ毛皮は? う〜ん、きっと毛皮に内ポケットが付いているのでしょう。汚れた毛皮はクリーニングに出しているのかな? うーにーも結構気を遣っているだ、と思うことにした。そうすると行いが悪いのは私達夫婦のどちらかになる。いや、うーにーを疑った2人共だろう。

今回の旅行の教訓、、、、「犬と人との信頼関係が無いと、旅行が雨になる。」

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