狂犬病予防法の理解を進めて、少し「法律」「施行令」「施行規則」の違いが分かってきました。疑問に感じる度に調べ、多少は理屈的なことも頭に入っています。
そのようことをここにメモとして書いてゆきます。あくまでも「私の理解」であり、間違っている可能性がありますので、疑問をもったら必ず調べてください。もし私が書いていることが間違っていたら大変お手数とはおもいますが、末尾の「ご意見や情報、質問などはこちらから」メールで送っていただければ幸いです。


以下、私が違いを理解する上で「なるほど!」と思ったことを書き連ねてゆきます。
今回は「何処で作られ、それにより役割がどうかわるか」を書いてゆきます。



 
 

■法律

法律は、国民の代表である国会議員が国会(立法機関)において決めます。
間接的にはなりますが、国民が定めたものになります。

決めた法律を変える(改正する)時も国会で決め、法律(改正法)で行う。なので簡単ではない。

法律の趣旨や守らねばならないルールが書かれていて罰則(刑事罰)も規定できる


同じことを表現を変えて書きます。

国民の権利義務に係ることが書かれている。
守らねばならないルール(義務)と、守らなかった時の罰則(基本的な権利に制限をかけられたり奪われること)が書かれている。
とても大事なことなので、国会で(間接的になりますが)国民が決める。変えるのも国会なので簡単ではない。

こういうことなので、選挙って大事ですね。


■施行令

政令」とも呼ばれる。法律ではこちらで呼ばれる。
施行規則(省令)からは施行令で呼ばれるのを見たことがある(狂犬病予防法施行規則(登録の消除)第十条)。

内閣総理大臣を長とする政府・内閣(行政機関)において定める。

変えるのに国会の審議は必ずしも必要ない(施行規則も)。

内閣なので、複数の省庁に関係することも決められるし、他省庁からのチェックが入ることもありそう。
反面、細かいことを決めるべきではない(現場レベルのルールなど)。

行政機関が作る命令の中で最高位に位置する。

内容は法律の範囲内で定めなければならない
法律の趣旨を実現させるためのものであれば、法律に具体的なことが書かれていなくてもよい。

基本的に罰則を規定することはできない
法律で委任されている場合など例外あり。


■施行規則

省令」とも呼ばれる。法律や施行令からはこちらで呼ばれる。

管轄するで決める。
基本的に他の省庁との調整は必要のなさそうなことが書かれている。

「何をすべきか」よりも、それを行うときの具体的な「どのようにすべきか」が主に書かれている。
役所の(具体的な)仕事の内容が書かれているし、申請や届出をするときに、どのような事項を記載するのか等も書かれている。日数などの具体的なルールも書かれている。

施行令の下に位置すると考えてよい。

施行令と同じく
内容は法律の範囲内で定めなければならない
法律の趣旨を実現させるためのものであれば、法律に具体的なことが書かれていなくてもよい。

基本的に罰則を規定することはできない


施行規則(省令)以外にも、告示や訓令・通達というものもあるみたいです。これらは「機関の所掌事務」つまり役所内の話として作る様です。
それらと施行規則(省令)も含めて定められている、「国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)(行政機関の長の権限)第十条~第十五条の二」を読むとなんとなく分かる様な気がします。




■公布の手続きによる違い

法律や施行令の公布は、天皇の国事行為だそうです。
これらの原本のコピーは、ネット上でも見つけることにあまり苦労しません
原本が探し出せた場合、天皇陛下のサイン(御名)とおおきな印鑑(御璽)があります。

それに対し、施行規則の公布は各省庁が行うものであり、天皇の国事行為ではないそうです。

このようなことが関係しているのか、昔の施行規則(省令)を探すのは苦労します。
今まで施行規則の原本を見つけたことがありません。ほとんどの場合、官報の広告を見つけて確認しています。




 


( 余 談 )


・ 上下関係から考える違い

法律を最上位に次は施行令、そして施行規則と並ぶことになる。
何をもって上下とするのか理解しきれていませんが、法規の基本的な性質から考えるようです。

行政機関が定める法規を法規命令というらしいですが、それは国民の権利義務に直接関わる。
つまり「~~しなければならない」「~~しなかったら罰則がある」ということを定める。

その権利義務の視点で内容を確認すると、なんとなく納得できるような気になることが多いです。




・ 罰則

罰則を定めることが出来るのは法律だけで、施行令や施行規則では定めることはできない(例外あり)と書きましたが、これは国レベルの話

都道府県、市区町村の条例でも罰則を定めることはできます

地方自治法14条3項
2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料
(引用させていただいたページ)
条例と規則 @ 行政書士専門の通信講座 行政塾
この中の「条例による罰則」。



罰則の種類
自由を奪われる刑罰として、懲役は作業もし禁錮は作業がないことは知っていましたが、禁固と拘留の違い拘留と勾留の違い科料と過料の違い、など改めて調べてみました。

比較的分かり易いものへのリンクを貼っておきます。
(広告が多いページがありますので気を付けてください)
「懲役」「禁錮(禁固)」「拘留」 @ 違いがわかる事典
懲役、禁固(禁錮)、拘留、勾留ってどう違う? @ keibee
禁固と拘留は30日が境
拘留は判決による刑罰、拘留は逮捕されてから判決が下るまで(形が確定していない間)収監されること。

Wikipedia の 科料過料
区別するために「科料」を「とがりょう」、「過料」を「あやまちりょう」と読むことがある。
科料は刑罰であり前科になる。罰金のとの区別として一万円未満。完納出来ない場合、労役場留置あり
過料は、刑法上の刑罰以外の金銭罰。前科にならない。「五十万円以下の過料」(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第八十条)など高額のものもある。完納出来ない場合、財産の差押はあるが(刑罰ではないので)労役場留置はない。




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2024.10.112024.10.11
2024.10.11 公開
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