狂犬病はもう長いこと日本国内で感染がなく、その脅威を実感できないものになっています。
しかし世界に目を向ければ、日本の様な国や地域は特殊な地域であり、日本も再び国内感染がある地域になったとしても何ら不思議はありません。
日本と同じく長年(52年間)清浄国とされていた台湾は、2012年に狂犬病に感染したイタチアナグマによる人への咬傷事故が発生し、清浄国ではなくなります。
見付けられた範囲で最新の情報として、2022年6月1日現在、「狂犬病予防法に基づき農林水産大臣が狂犬病の発生がないと認めた地域(指定地域)アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムの6地域」(農林水産省の資料より)。これらに日本を入れて、世界で7地域のみとなります。
日本国内で人での狂犬病の発生があったのは、昭和31年(1956年)という遠い昔と云っても差し支えないような頃なので、今、狂犬病の恐ろしさを想像するのは難しいかもしれません。
日本国内で狂犬病の脅威があった時代の状況とそれに対応するように法律などが作られ、時代にあわせて改正されていった状況が書かれたページを読んで、少しでも狂犬病の脅威について考えていただけたらと紹介します。
日本の狂犬病の歴史(大阪府獣医師会)
著書「ヒトの狂犬病」で有名な高山直秀先生の文章のようです。
ワクチンのない時代の話が多いですが、感染の広がりを抑えることが如何に困難か分かります。
最後の部分で集団予防接種が如何に効果的であるか(それが出来なかった関東大震災の翌年に激増したことも含めて)理解出来るとおもいます。
狂犬病予防法は戦後の昭和25年(1950年)に成立しますが、今の感覚から考えると遅すぎるようにも感じます。
わが国における犬の狂犬病の流行と防疫の歴史 4(人と動物の共通感染症研究会)
直前に紹介したページでは感染数の推移が分かり難いですが、こちらでは「犬の」狂犬病の発生頭数の推移がページの下の方にあります。
日本における狂犬病(人と動物の共通感染症研究会)
最後の一文「国際交流の激しい現代を考えると、 本病への防疫の努力は寸時もこれを忽せにはできないのである。」は心に刻みたい。
狂犬病予防に関する法律と規制(人と動物の共通感染症研究会)
ワクチンがなく集団予防接種もできなかった時代とはいえ、今の感覚では考えられない方法で処分することを定めています。このような時代に戻りたくないものである。
法律・規則・条例の詳細(日本における狂犬病制圧の歴史)
明治以降の法律等の流れが整理されています。
獣疫予防法~家畜伝染病予防法~狂犬病予防法の流れが詳しく書かれています。
こちらのサイト(日本における狂犬病制圧の歴史)は魅力的なページへのリンクが多々あるのですがリンクが切れになっています。
それらの幾つか掘り起こしてみました。
法律・規則・条例の年表(古代から大正時代まで 、昭和から現代まで )
GHQからのメモランダム
なぜ狂犬病予防法制定後に清浄化に成功したのか
狂犬病:その歴史と現状ならびに防疫対策(J-STAGE)(2007年)
世界、日本の狂犬病の歴史が書かれている。
日本国内の(「獣疫予防法」が発布された)1896年(明治29年)以降今日までの人と動物の発生数が示された資料もある(縦軸に注意)。
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